なぜあなたの「たとえ話」はいつもつまらないのか…誰でも絶妙な比喩が使えるようになる"伝え方の型"
■単調な説明になりそうなときは「争点」をつくる 【「争点」の型】 その日の講義で一番伝えたいメッセージがはっきりしているのであれば、それを「争点」として全体の話を一貫する、というやり方もできそうです。たとえば、Cさんが新人たちに最も伝えたいことが「常に“チームの目的”と“自分の成長”を重ねること」だとすれば、その日のすべての講義の項目を、いちいちこの概念で語ればいいのです。 Cさんの経験談は「“チームの目的”と“自分の成長”が重なった仕事の事例」の話。 こんなときどうする? のシミュレーションでも、「“チームの目的”と“自分の成長”を重ねるには?」の演習をする、などなど。串刺しして話すことでおのずとそれが争点となり、新人たちの中にも大事なメッセージとして残るはずです。 という感じで、Cさんは新人たちへの研修をなんとか終えることができました。もちろん、新人たちや人事からの評判もよく、来年もやってほしい、と頼まれることにもなりました。でも、いちばん勉強になったのはCさん自身かもしれません。誰かに教えることは、自分の考えをアウトプットするということ。頭の中が整理できるなど、良いことが多いですよね。 ---------- 井手 やすたか(いで・やすたか) 博報堂ケトル コピーライター/クリエイティブ・ディレクター 1980年生まれ、佐賀県出身。2004年東京大学経済学部卒業、博報堂に入社。マーケティング戦略プランナーを経て、2008年からコピーライターに転身。2024年現在、コピーライターとして培った「言葉の技術」を得意とするクリエイティブ・ディレクターとして、数々の広告キャンペーンやブランド戦略、PRでの話題化、商品開発/事業開発など幅広い案件を手掛けながら、社内外でコピーライティングやコミュニケーションに関する研修・講義などを精力的に行っている。2022年、出身地・佐賀市の情報発信強化アドバイザーに就任。国内外の主要な広告賞を20種以上受賞。Cannes Lions、AdFest、D&AD、NY Fes、LIA、Spikes Asiaなどの国際賞や、TCC新人賞/TCC賞ファイナリスト、ACC、日本ネーミング大賞、PRアワード、朝日広告賞、広告電通賞、グッドデザイン賞ベスト100、ギャラクシー賞、ユーキャン新語・流行語大賞などの国内賞も。 ----------
博報堂ケトル コピーライター/クリエイティブ・ディレクター 井手 やすたか