炎上がプラスになる会社・マイナスになる会社の差 経営者が自ら発信をしていないのは「丸腰」
かつて某中古車販売の会社が「炎上」したことがありましたが、その発端は会社の発信とはまったく関係がありませんでした。事実として経営に問題があり、それが明るみに出ただけです。世の中にはいろんな炎上案件がありますが、そのほとんどは炎上に値するような事実が発端です。「発信そのもの」が炎上の火種になることはほぼない。発信ではなく事実が炎上しているだけです。炎上するかどうかは「SNSをやっていたかどうか」とはほぼ関係ないのです。
■自分の言葉で語れば、炎上すらプラスになる 「発信はリスクだ」と思い込んでいる人は「発信しないことのリスク」を見落としがちです。発信しないことにもリスクがあることを忘れてはいけません。 不正をしていた中古車販売会社のニュースを見て、多くの人が真っ先に「怖い会社だな」「あんまり利用したくないな」とネガティブな感情を抱いたと思います。ではもし、その会社がSNSのアカウントを持っていて、つねにお客さんと良好なコミュニケーションを取っていたらどうだったでしょうか?
会社の理念を語っているのを見たことがあったり、インターネット上で社長の人格が伝わっていたりしたら……おそらく印象が変わるはずです。「あの社長がそんな指示を出すかな?」と考えて、すぐにネガティブな感情が湧くことはなかったかもしれません。発信をしていないと、世の中の自社に対する印象は「0」なので、何か少しでも問題が起きるとすぐにネガティブに振れてしまうのです。 発信をしていないというのは「丸腰」の状態です。何か問題が起きても対抗する武器を持っていないのと同じ。普段からSNSなどでコミュニケーションを取っていれば、仮に何か炎上したときであっても、余計な「延焼」を防げます。発信をせずに会社や経営者の人格がまったく知られていない状態。それはむしろ、リスクなのです。
■炎上をプラスに変えたスープストックトーキョー 逆に、うまくコミュニケーションができれば炎上すらプラスに持っていけます。2023年にスープストックトーキョーが、離乳食の無料提供を開始しました。それを発表した際、SNSでは批判の声が殺到しました。「そんなことをしたら親子連れが押し寄せて地獄絵図になるんじゃないか?」「依怙贔屓だ」「もう絶対に行かない」などなど。 このような炎上が起きると、会社は無味乾燥な「謝罪文」を出したり、口をつぐんでしまったりします。でも、このときの同社の対応は違いました。こんな発信をしたのです。