「気まぐれ」台風に翻弄 始業式延期も肩透かし 部活「中止」一転実施に 県内、週末催し予定変更続発
ゆっくりと日本列島を進む台風10号に、石川県内の教育現場やイベントの関係者が翻弄(ほんろう)されている。直撃を想定して早めに始業式の延期を決めたものの、予想が外れて「肩透かし」をくらったり、いったん中止と決めた部活動を再協議の上で実施したりする学校も。週末の行事やイベントは予定変更を余儀なくされ、進路や接近のタイミングを予想しにくい「気まぐれ台風」への恨み節が漏れた。 【写真】波の浸食を防ぐため、土のうの設置が進む向田漁港=七尾市能登島 ●底引き出漁、31日夕判断 「この1週間は台風に振り回されている」。中能登町教委の担当者はため息をついた。26日、当時の最新情報に基づき、中能登中の30日の部活動を中止すると決めたが、台風の進行速度が遅く、28日に再協議して実施することにした。 輪島市教委は小中学校の始業式を30日から9月2日に延期したものの、結果的には変更した日に台風が最接近する予想に。再延期の予定はないが、休んだり、始業に遅れたりしても欠席・遅刻扱いとしない方針だ。 二転三転する台風予報に、いまだ実施日を決めかねている市町教委も多く、能美市は2日早朝に実施するかどうかを正式に決める。七尾市は同日に行う予定だが、台風の状況次第で延期もあり得るという。 学校の文化祭にも影響が及んだ。30日に行われた金沢学院大附属中学校・高校の文化祭「清鐘(せいしょう)祭」は本来31日まで2日間の予定だったが、模擬店の食材調達のため早めに開催の可否を判断する必要があり、27日に日程を1日に短縮すると決めた。 附属高の谷内正樹副校長は「頑張ってきた生徒のためにも、2日目を開催したかった」と残念がった。 1日解禁の底引き網漁は、出漁見合わせとなる可能性が大きい。金沢市船長会の宮田康一会長(55)は最終的には31日夕方に判断するとし、「氷を船に積んだのに、31日は出港できないと思う。台風が気まぐれなので予定を立てられない」と嘆いた。 1日に金沢競馬場で行われる西日本交流重賞・西日本3歳優駿は現時点で開催する見通しで、台風が直撃した四国や九州の競走馬も出走する。 高知競馬所属シンメデージーの打越勇児調教師は台風の影響で調教が満足にできなかったといい、「長年調教師をしていて、ここまで台風にやきもきさせられたのは初めて」と語った。 台風接近がずれ込み、七尾市では31日のイベントに出演予定だった川崎市の太鼓団体が参加を見合わせた。白山市では1日のはくさんスポーツ・レクリエーション大会や松任城址公園周辺の清掃が中止となった。 ●県「中止や延期検討を」 県は30日、県庁で災害対策本部連絡員等会議を開き、各部局や各市町に対し、週末に行われるイベントの延期や中止を検討するよう求めた。