大声援に華麗なダンス、スタンドでも火花 センバツ声出し応援解禁
18日に開幕した第95回記念選抜高校野球大会で、声を出しての応援が春夏の甲子園では2019年夏以来、3年半ぶりに解禁された。雨がやむのを待って予定の時間より遅れて始まった初日だが、久々の大声援が雲を吹き飛ばしたのか、選手や応援団に時折まぶしい日が差した。マスクを外して球児たちの奮闘を後押しする人も多く見られた。 【写真で振り返る東北vs山梨学院】 東北(宮城)と山梨学院が顔を合わせた開幕試合。東北の一塁側アルプス席では生徒約140人のほか卒業生や保護者、県人会メンバーら約500人による応援を硬式野球部の部員約20人が引っ張った。 学校法人名の「南光学園」にちなむ曲「南光のシンデレラ」の歌詞は「甲子園に恋した」で始まり、高校野球ファンにはおなじみだ。大音量の吹奏楽と華麗なチアリーダーのダンスに合わせ、野球部員らが「一発勝負さ」と熱唱した。 野球部の応援リーダーを務める浜田浩輔さんは「相手の応援に負けないよう声援を送りたい」と太鼓をたたいて盛り上げた。これまで声出しができないため、ダンスのタイミングがずれてしまうことに悩んでいたというチアリーダー部部長の沼田恋芽さんは「声でリズムに乗り、周りの応援を引き出したい。山梨学院のチアのオレンジ色が目立って動きもそろっているので『負けないぞ』と燃えています」と笑顔を見せた。 三塁側の山梨学院アルプス席には約750人が詰めかけた。一回の攻撃で伝統のチャンステーマ「BIGWAVE」の演奏が始まると「オイッ、オイッ!」と威勢の良い掛け声が響いた。野球部員約20人でつくる応援団の仕切り役、中原義虎さんは「憧れていた甲子園の一員という感覚。相手の応援にも気迫がある。思い描いていた甲子園」と息を弾ませた。 3月に入って応援の練習を始めると「大声を出すのがこんなに楽しいなんて」と新鮮だったという。新型コロナウイルス禍のため高校では声出し応援は未経験。そこで過去の応援を撮った動画を繰り返し見て研究してきた。 「BIGWAVE」を作曲した同校野球部OBでシンガー・ソングライターの伸太郎さん(48)は「生徒たちは声を張り上げて五回の先制を後押しした。スタンドも全力で試合に臨む『甲子園』が戻ってきた」と感慨深げに球場を見渡した。【藤倉聡子、近森歌音、竹田直人、大塚愛恵】