<甲子園交流試合・2020センバツ32校>帯広農4-1健大高崎 帯広農、夏空に開花 自粛期間越え成長 9番打者先制2点打
◇第5日(16日・阪神甲子園球場) 帯広農が積極的な打撃と好守で健大高崎を振り切った。帯広農は二回に菅、村中の連打などで2死満塁とし、谷口の2点適時打で先行。三回に4番・前田の意表を突くスクイズで加点した。ともに緩急を生かした投球が持ち味の井村、水上の継投も決まった。健大高崎は再三好機を作りながら3併殺と、打線がつながりを欠いた。 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら <帯広農4-1健大高崎> プロ注目の投手と評価の高かった健大高崎の先発左腕・下に対し、昨秋の公式戦のチーム打率が4割を超える帯広農打線は序盤から得点を重ねた。ただし、貴重な先制打を放ったのは昨秋の公式戦で打席に立ったことのない9番打者だった。 二回1死一塁から菅、村中の連打で満塁とし、2死後、9番の谷口が右打席に入った。昨秋は公式戦でわずか1試合の出場のみだったが、晴れ舞台で成長の跡を見せた。 下が投じた外角低めの速球を十分に引きつけ、コンパクトなスイングで振り抜いた。打球は一、二塁間を抜け、2人が生還する先制適時打に。これで活気づいた帯広農は、第1ストライクから甘い球を逃さずに仕留める積極的な打撃で主導権を握った。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3~5月に2カ月ほど全体練習の自粛を余儀なくされた。暦の上では春かもしれないが、この時期の十勝は寒い。外での自主練習にも限界があるが、そこは農業高校だ。実家が農家である選手たちは、暖かいビニールハウスの中で体を動かし、練習不足を補ったという。 帯広農をモデルとした学校が登場し、好評を博したNHK連続テレビ小説「なつぞら」。そのタイトルを思わせる晴れ渡った空の下で、躍動した。【岸本悠】 ◇健大高崎、左腕悔い ピンチで動揺 本領遠く3失点 下慎之介投手(健大高崎・3年) 「力の半分も出せなかった」。試合後、絞り出した言葉が全てを語っていた。 プロ注目左腕でもある健大高崎の先発・下。4回3失点でマウンドを降り、高校最後の登板は57球。実力を披露するには短すぎた。 先制を許した二回、「頭が真っ白になった」。2死満塁のピンチで帯広農の9番・谷口を迎えた。3球で追い込んだが、4球目の決め球が内角に構える捕手のミットとは逆へ。下半身の力がうまく伝わらない逆球をたたかれ、一、二塁間を破られた。「直球も変化球も高めに浮き、どうしようかと思った」。140キロ超の速球を誇る184センチの長身左腕は、最後まで修正する策を見いだせなかった。 昨秋は関東大会を制し、準優勝した明治神宮大会もエースとしてチームを引っ張り、全国区で注目を浴びた。すでにプロ志望届を提出し、甲子園は絶好のアピールの場でもあったが、本領発揮とはいかなかった。中学時代からバッテリーを組む捕手の戸丸は「きょうは15点。力が足りないことを自覚してほしい」。互いを知り尽くすからこそ、あえて厳しい言葉をかけた。 「こんな形で終わって、悔いが残る。精神的に強くなって、上(プロ)の世界で上り詰めたい」と下。前を向き、飛躍の糧にする覚悟を示した。【長宗拓弥】 ……………………………………………………………………………………………………… △午後0時52分開始 帯広農(北海道) 021010000=4 010000000=1 健大高崎(群馬)