リーダーが「よい聞き手」になるための実践法
■あなたは本当によい聞き手か あなたは職場でよい聞き手だろうか。誰かに話しかけられている間は、気が散るものを脇へ置き、頷き、口を挟まずにいるため、自分はよい聞き手だと考えているかもしれない。また、話の要点を復唱して、相手の話をきちんと聞いて理解したことを示す人もいるだろう。どれも賢明な行動だが、それでも話し手は、話を聞いてもらえていない、あるいは聞き流されていると感じることがある。 アクティブリスニングには、ほかにも習得すべきスキルが多くある。微妙な合図の読み取り方から、自分の感情反応のコントロールまで、共感と自己認識の両方が必要なのだ。 本稿では、アクティブリスニングがどのようなもので、この必須のコミュニケーションスキルを向上させるにはどうすればよいかを説明したい。 ■アクティブリスニングとは何か アクティブリスニングとは、相手の話を聞くだけでなく、相手の考えや感情にも注意を傾けることをいう。それによって、会話が積極的で非競争的な、双方向の対話に変わる。 ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)のリサーチアソシエートのロビン・エイブラハムスと同校教授のボリス・グロイスバーグは、アクティブリスニングには認知、感情、行動の3つの側面があると説明している。彼らは「自分の『聞き方』を上達させる方法」で、各側面を次のように定義している。 ・認知:相手から受け取っている明示的、暗黙的な情報すべてに注意を払い、その情報を理解し、統合する。 ・感情:会話の間、冷静で思いやりのある態度を保ち、自分が経験する可能性のある感情的な反応(いら立ち、退屈)をコントロールする。 ・行動:興味と理解を言語あるいは非言語で表現する。 彼らはさらにこのように書いている。「アクティブリスニングを上達させるには、生涯にわたる努力が必要だ。しかし、少し向上するだけでも、傾聴の効果は大きく変わる」 リーダーシップコンサルタントのジャック・ゼンガーとジョセフ・フォークマンのこのたとえも、アクティブリスニングとは何かを理解する一助になるだろう。「あなたは、情報を吸収するだけのスポンジではなく、話し手の考えにエネルギー、加速度、高み、増幅を与えるトランポリンのようなものだと考えてください」と彼らは書いている。以下では「トランポリン・リスナー」になる方法を紹介しよう。 ■アクティブリスニングの実践法 ■1. 自分の基本となるリスニングスタイルを知る このソフトスキルに関してよく誤解されるのは、やり方は一つ、つまり、聞いているか聞いていないかのどちらかしかないと思われていることだ。しかし、医師のレベッカ・マインハート、子供病院のコンサルタントであるベンジャミン・サイモン、そして救命救急医のローラ・ロックが共著に書いているように、話し手のニーズに応じてさまざまなスタイルを使い分ける必要がある。 まずは、「自分はふだんどのように話を聞いているだろう」と我が身を振り返ることが重要だ。 マインハートらは、医療に関する研究の中で、4つのタイプの傾聴スタイルを観察している。