娯楽か賭博か、2018年から「いつでもどこでもスマホでギャンブル」の米国 依存症の課題も
消費者のニーズに応えている
カジノは今も昔もギャンブル業界の顔だ。それに対して、スポーツ賭博に関しては、近くの賭場に出掛けたり、信頼できる胴元を探したりする必要はない。必要なのはスマートフォンだけだ。 「以前は賭場に出向く必要がありました」と米ラトガーズ大学「ギャンブル研究センター」所長を務めるリア・ノワー氏は話す。「それが今や、携帯電話で24時間365日ギャンブルが可能です。スポーツ賭博やカジノをポケットに入れ、家族との夕食の時間でも、ギャンブルに興じることができます」 もちろん、一か八かの勝負に出ないことを選択する人はいる。その一方で、簡単に説得されて手を出す人もいる。オンラインスポーツ賭博サービス「BetMGM」や「DraftKings」などは、登録すれば気軽に始めることができ、支払いと引き出しの両方が簡単にできるよう、PayPal(ペイパル)をはじめとするさまざまな決済サービスに対応している。 しかし、不慣れな人は予想以上に損をすることになるかもしれない。試合の特定の場面や小さな局面に賭けるマイクロベッティング、1つの試合で複数のイベントに賭けるパーレーといった機能は、初心者にとってもベテランにとっても大儲けが期待できる魅力があるが、それぞれリスクがある。例えば、パーレーは予測力に大きく関わっている傾向があり、1度でも間違えば、賭け金をすべて失うことになる。 「スポーツ賭博の大半はオンラインで行われています」と米国のカジノ業界団体である「米ゲーミング協会(AGA)」のシニアバイスプレジデントであるジョー・マロニー氏は話す。「これは明らかに、合法的で規制された市場の事業者が、現代社会でますます拡大している消費者のニーズに応えていることの表れです」 オンライン賭博が拡大しているからといって、リアルがなくなったわけではない。実際、バーやボーリング場、スポーツ会場など、自由な時間を過ごす場所であれば、ほぼどこにでもギャンブルのチャンスがある。レストランさえも2018年の判決後、人気のスロットマシンを設置するようになった。