新紙幣対応の機器導入 諏訪地方の店舗や施設も入れ替え負担に苦慮 長野県
新紙幣の発行が20年ぶりに、3日から始まる。券売機や自動精算機などを置いている長野県諏訪地方の店舗や施設では、新紙幣に対応する機器の入れ替えや部品交換に追われている。新紙幣発行に合わせた機器の更新で利便性などの向上を期待する一方、売り上げや収益に直接は結び付かない負担の大きさに苦慮する声が聞かれる。発行開始に間に合わない機器については、窓口での支払いや両替、旧札との交換で対応する。 ◆「販売力高めるチャンス」前向きに捉え ドライブイン「峠の釜めし本舗おぎのや諏訪店」(諏訪市)は、食事コーナーの券売機と売店のレジを新紙幣対応に更新する。9月に導入を予定。更新に伴う設備投資はグループ全体で数千万円というが、レジはセミセルフ式に替え、「人手不足を補ったり、ICT(情報通信技術)を使って販売情報を管理したりして、販売力を高めるチャンスにしたい」と前向きに捉える。 温泉施設の券売機は、諏訪市総合福祉センター湯小路いきいき元気館では今年3月、従来機が昨秋から不調だったため、業者への発注が混み合わないうちにと新紙幣対応に交換した。ゆたん歩゜(下諏訪町)では新型機に入れ替え、新1000円札と新500円玉も使えるようにした(従来機同様、1万円札と5千円札には対応していない)。 ロマネット(岡谷市)では対応機を発注しているが、受注の集中で7月ごろ導入予定。茅野市の温泉施設は、6施設のうち尖石温泉縄文の湯では7月初旬には部品交換で対応可能になる予定で、残り5施設では入れ替えが必要で注文済みだが、発注殺到で7月中の納入予定が遅れそうという。道の駅信州蔦木宿(富士見町)では対応機の導入について検討中で、「交換は多額の費用がかかり、負担が非常に大きい」としている。 ◆収益には結び付かず影響大 病院に設置している医療費の自動精算機については、諏訪赤十字病院(諏訪市)では8台あるうちの4台は部品交換で対応済み。残り4台は本体の入れ替えが必要で、7月22日から全機が新紙幣に対応する予定。入れ替え機は高さが低めで高齢者らも操作しやすくなるなど利便性が高まるという。ただ、費用は1台約330万円で、「収益に結び付く部分ではないので、経営への影響は大きい」とする。 岡谷市民病院(岡谷市)では新紙幣対応の機種を導入済み。諏訪中央病院(茅野市)では部品交換で対応済みで、「対応機の準備には多額の費用が必要で、苦慮している」としている。富士見高原病院(富士見町)ではシステム更新で対応する予定で、更新日は決まっていないという。 パチンコ店「ニューアサヒ」を展開する三公商事(岡谷市)は、玉やメダルの貸出機を6月14日までに新紙幣対応にした。設置しているパチンコ、パチスロの台数は、運営する21店舗に計約1万1500台。貸出機は各台の横にあるため、各店の空調にかかる電気代の高騰も重なり、「売り上げに関係ない」新紙幣対応に伴う負担は大きいとしている。