中学受験第一志望直前に「塾友」と再び大喧嘩…「2000円高級シャープペン」の意味
「勉強嫌いの息子の中学受験は、完全に親のエゴでした。でも最後に『中学受験をしてよかった』という息子の言葉を聞いてホッとしています」 【マンガ】受験生以外にも響く!中学受験を舞台とした『二月の勝者』12の名言 こう語るのは、森将人さん。慶應義塾大学を卒業した元大手証券ディーラーだ。 小学生に「自分の意思」と言っても、親の影響を大きく受けるもの。中学のみならず、受験という「なにかに挑むこと」はそれによって成長することも多いが、子どものやりたいことを押し殺して親の意のままにするとなるとそれは教育虐待になってしまう。 特に「勉強が好きではない」子が中学受験をしたい場合はどうなるのだろう。 その体験を率直に綴る連載「勉強嫌いの中学受験」第5回は第一志望の入試直前のコミュニケーションと塾友との関係について送っている。 前編「「お前なんて落ちるに決まってる」中学受験「塾友」の心ない攻撃に親ができること」では、「前受け」に選んでいた学校の受験のあと、塾友のA君から「お前なんて受かるはずない」と言われてショックを受けたエピソードをお伝えした。 ではそのA君とどのように関係は続いたのか。
塾友と再度の大喧嘩
「しばらく塾は一人で行ったほうがいいんじゃないか?」 「もうケンカしないから、大丈夫だよ」 学校のクラスも同じで仲のいい塾友のA君から「お前なんて、落ちるに決まってる」と言われ、殴り合いの喧嘩をしてきた孝多は夕食を取ると、早めに風呂に入った。疲れていたのだろう。布団に入るころにはすっかり落ち着いていたが、問題はこれで終わらなかった。 「塾の先生から着信があってね、折り返したら、孝多がお友だちと大喧嘩したっていうのよ」 翌日の夕方のことだった。またA君ともめごとだ。大喧嘩というと殴り合う姿をイメージしてしまう。身体の大きな孝多のことだ。友だちを殴ってケガさせていないだろうか。 「今度は何だ?」 妻は大きなため息をつくと、A君が孝多のシャープペンを壊したことでいい合いになったという。いたずらでもしたくなったのだろう。なかのバネが壊れ、怒った孝多がつかみかかったのだ。 「お互い悪いことは認めてるみたい。先生も家では怒らないでくださいっていってるから、パパからは触れないでね」 「そんなことしてる暇はないんだけどな」 「本当にそうよ。先生もあきれてた。孝多には、試験までは勉強のことだけに集中しろって伝えてくれって」