新型ウイルスの基礎知識 「特徴と予防策」を国立感染症研究所長に聞く
2019年末から中国湖北省武漢市を中心に感染が拡大している新型コロナウイルス。国内でも感染患者が確認されています。そもそも新型ウイルスはどのようなもので、予防には何が有効なのでしょうか。国立感染症研究所の脇田隆字(たかじ)所長に聞きました。
Q:新型コロナウイルスとは何ですか?
脇田所長:もともと人に感染し、風邪を引き起こすコロナウイルスは4種類ありました。そして、いわゆる新型として出てきたのがSARS(重症急性呼吸器症候群。2003年に流行)とMERS(中東呼吸器症候群。2012年以降に流行)で、動物のウイルスと言われていたものが人に感染したものです。
Q:今回の新型コロナウイルスは何の動物を経由してきたのでしょうか?
脇田所長:SARSはコウモリから感染しました。コウモリは免疫を持っているので感染しても病気になりませんが、それが人にくると病原性を示すことがありました。今回の新型ウイルスはどこから来たか分かっていません。中国のグループの遺伝子解析によると、SARSに似たコウモリのウイルスに近いと言われています。MERSはラクダです。ラクダはくしゃみをするくらいの症状でしたが、人に感染すると重症化することがあります。種を越える感染がどういうときに起こるのかは分かっていません。ただ、種を越えたときに重症度の高い病気を起こすことがあります。
Q:世界保健機関(WHO)が出した緊急事態宣言が持つ意味を教えてください。
脇田所長:国際的な健康危機があるということです。WHOとしては、各国に対してしっかりした備えをしてください、という警告を出しています。日本のような国は備えができていますが、そうでない国はWHOが支援するということです。
Q:予防には何をすれば良いのでしょうか?
脇田所長:インフルエンザと同じような対策を心がけましょう。咳(せき)を周囲の人にまき散らさないように気を付けることは大事です。あとは、アルコール消毒。ウイルスの膜はアルコールで壊れて、感染性がなくなります。人がよく集まるところでは、こまめにアルコールで消毒すると良いでしょう。あとは個人の免疫力を下げないように(1)睡眠をよくとる(2)ストレスを抱えない(3)食事をしっかり取る―、ということを意識することが大切です。