帰省時に両親と話したい「実家じまい」のこと。実家を「空き家」にしないために、今からできる3つの準備
アルバムに遺品…。「実家の片づけ」は何より難しい
次に進めておきたいのが「今のうちからできる限り、ものを減らしておくこと」と和田さん。 「特に、今住んでいる自分の家ですら、ものが溢れかえっている、片づけがなかなか進まないという人は要注意です。というのも、実家の片付けは、自分の家を片付けるよりもずっと難易度が高いからです。 アルバムや親が着ていた着物、価値がありそうなものや代々受け継がれてきたものなど、実家にあるもの一つひとつ手にとって見ていたら、日が暮れてしまいます。また遺品や思い出の品は、手放すにしても心の整理がなかなかつかないもの」 帰省のタイミングを狙って片づけを進め、長く使っていないものは思い切って処分してしまうのが良さそうです。しかし「こんなもの、取っておいても使わないでしょ!」などとネガティブな言い方をすると親とけんかになりそう……。 そこで片づけも「ポジティブに進めていく」のが大事だと言います。 「ただ捨てるだけではなく、売れそうなものがあればフリマアプリなどで売ってみるのも良い方法です。少額でもお金になったら嬉しいし、親には“売れたら、そのお金で一緒にランチに行こう”などと誘ってみると、片づけが楽しくなってきます」 ナイーブな問題だからこそ、実家じまいについての会話や片づけは、できるだけ楽しく、ポジティブに始めるのがポイントのようです。
売る以外の選択肢も。空き家は今、可能性に満ちている!
地方に実家がある場合や、築古の物件などで「どうせ売れない」と決めつけている人も多いかもしれません。しかし、実は今、空き家には大きな可能性があるそうです。「空き家を取り巻く状況や、売る以外の活用方法をあらかじめ知っておくと、いざという時にもっとも良い方法を選択できる」と和田さん。 特に今、追い風になっているのがコロナ禍を経た働き方・暮らし方の変化と、円安による海外旅行客の増加だそう。 「『都市部に住んで働く』以外の選択肢が広がり、地方に移住したり多拠点生活を送ったりしている人が増えています。地方に移り住む人が増えているので、どうせ売れないと諦める前に市場に出してみると、意外な金額になることもあります。 売る一択だけでなく、誰かに貸す、自分たちが別荘のようなセカンドハウスとして使用するなど、さまざまな活用方法が考えられます。移住促進をしている自治体など、行政が率先して空き家を有効活用するための取り組みを行っている場合も。 またアフターコロナと円安で海外からの旅行客が増え、日本は今、全国で宿泊施設不足です。特に民泊として空き家を活用することには、大きな需要があります。また実家丸ごと貸すのではなく一部だけ貸す、宿泊用ではなくレンタルスペースとして貸すなどの選択肢もあります」 今すぐどうするかを決めなくても、このような選択肢があると頭に入れておくだけで、いざという時に調べたり行動したりしやすくなりそうです。早めに行動することで、良い条件で売ったり貸したりできる可能性を高めます。まずは帰省のついでに話をすることから始めてみましょう。 【まとめ 実家を空き家にしないために、今から準備しておく3つのこと】 1:家族で会話し、親の意向を聞いておくこと 2:できる限りの片づけをしておくこと 3:空き家の可能性や、売る以外の活用方法も知っておくこと 取材・文/塚田智恵美