ヴィヴィアン・リー演じるスカーレットが女性の共感呼ぶ、名作映画「風と共に去りぬ」
不朽の名作として今なお語り継がれているのが「風と共に去りぬ」だ。原作は1936年6月に出版された『風と共に去りぬ』で、1939年に公開された映画でありながら、21世紀に発表されているアメリカ映画ベスト100に複数回ランクインしており、映画好きでなくとも誰もが知る作品のひとつだろう。映画は4時間近い長編となりながら、決して飽きさせない構成となっている。 【写真を見る】不朽の名作「風と共に去りぬ」 主人公は、農場経営で財を成した、オハラ家の長女スカーレット(ヴィヴィアン・リー)。彼女は誰もが振り返る美貌の持ち主であるが、勝手気ままな性格で、周囲の手を焼かせていた。 そんなある日、彼女にとってショッキングな出来事が起きる。彼女が愛してやまなかったアシュレー・ウィルクス(レスリー・ハワード)が、彼自身のいとこ・メラニー(オリヴィア・デ・ハヴィランド)と婚約したのだ。スカーレットにとっては青天の霹靂で、取り乱し、当てつけのようにメラニーの兄であるチャールズ・ハミルトン(ランド・ブルックス)と結婚する。 しかし、結婚してから程なくして、チャールズは南北戦争中に"はしか"で病死し、スカーレットは未亡人に。戦争の影響もあり、一度は全財産を失うことになるも、妹のフィアンセであるフランク・ケネディ(キャロル・ナイ)と結婚することで経済的に大きな成功を収める。その後、スカーレットは自身に想いを寄せ続けていたレット・バトラーと3度目の結婚をする。だが、流産をきっかけに2人の間に溝が生まれ、最後にはレットも彼女の元を去ってしまうのだった。 ■当時の女性の憧れとなったスカーレット スカーレットは映画の中で刹那的な幸せを得ることはできるのだが、最後には孤独となり、絶望に苛まれる。映画を観終わった後、現代の感覚では彼女に共感する人も、なりたいと感じる人もそれほど多くはないだろう。 しかし、当時の時代背景は「女性が男性には従うのが当たり前」という男尊女卑の傾向が強く、ましてや繰り返し結婚するというのはほとんど例がなかった。そのため、スカーレットのように自由奔放に自身の幸せを追う姿は、当時の女性にとって憧れにも近い感情と大きな勇気を与えた。 それだけでなく、スカーレットは絶望の淵に落とされても、自らの力で這い上がろうとしていた。これもまた、女性の新たな生き方として非常に魅力的に映ったのであろう。 そんな型破りで、感情の起伏が激しいスカーレットを演じたのがヴィヴィアン・リー。まるでヴィヴィアン本人も「こういう人間なのでは?」と感じさせる見事な"憑依ぶり"だった。一方で、美貌だけではなく、所作や表情などでスカーレットが本来持つ気品失うことなく、観客の心を強く惹きつける。 物語の前半は利己的な行動が目立つスカーレットだが、後半では戦争や飢えに耐え抜くためにたくましい女性へと変貌していく。「明日は明日の風が吹く」と力強く生き抜こうとする、美しいヴィヴィアンの姿からみずみずしい生命力を感じたのは私だけではないだろう。 もちろん、作品全体を通してスカーレットに100%共感するのは難しいし、「自分勝手な女性だな」という感想を持つのも不思議ではない。だが、忘れてはならないのはこの作品が上映されたのが、今から80年以上も前であるということ。今とは時代や世の中の風潮が大きく異なるにもかかわらず、スカーレットは映画界を代表するヒロインとして、今なお世界中の人々に愛されている。それもヴィヴィアンの麗しさ、奔放ながらも芯の強さが伝わる演技が多分に寄与していると言えるだろう。世代最高とも評されたヴィヴィアンの美しさを一目見るだけでも、「風と共に去りぬ」を鑑賞する価値は十分にあるはずだ。 文=まっつ
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