「あの身長2m天才セッターとニコッ」石川祐希“待望CLデビュー”顔面直撃ハプニングも…常勝軍団ペルージャに馴染んだ3カ月
反撃の口火を切った石川のスパイク
試合はホームのペルージャ優位の予想を覆し、第1セット序盤からチェスケがくらいついた。1000km以上の遠征距離をものともせず粘り強いディフェンスを見せ、ペルージャからポイントを奪う。鋭いレフトスパイクが石川の顔面を直撃するハプニングもあった。 だが、ペルージャは崩れない。 サイドアウトが欲しい局面ごとに200cmの天才セッター、ジャンネッリの急角度ツーアタックやMBルッソの速攻で流れをきっちり取り戻す。第1セットは25-16で先取した。 第2セットもリードを許すが慌てず騒がず、9-11の場面でジャンネッリの落ち着いたセットを石川がレフトからきっちり決めて反撃の口火を切った。ラリーの決定打を託し託される2人に、会心の笑みがこぼれる。 ペルージャの強さの理由の一つは、試合中の“修正力”にある。チェスケ戦でも序盤に乱れたレセプションや浮ついていたサーブを選手の一人ひとりがゲーム中にきっちり修正してきた。第3セットではOHプロトニツキ、MBロセル、OPエレーナの3人が効果的にサービスエースを奪っている。 「うちがサーブで攻めていけるときは相手のセッター(の配球)をきつくできる。サイドがしっかり機能できればブレイクできる」(石川) 接戦に持ちこまれた第3セットも25-22で制して、ペルージャはCL開幕戦をストレート勝ちで飾った。決勝トーナメント進出にはグループリーグ6試合での得セット率が重要になるため、上々の滑り出しといえるだろう。 ロレンツェッティ監督はクラブ悲願の欧州制覇に向け、開幕前の選手たちに「謙虚に、だが全力で大会の主役を張るのだ」と心構えを説いたという。 試合後の指揮官の言葉からも、タイトルへの長丁場を見据えた勝負師の凄みがのぞく。 「ホームでの初戦を3-0で勝てたことについては満足できる結果だと言える。ただし、内容は最高の出来だっただろうか。第1セット、第2セットともにもっと点差をリードできたはずだ。とはいえ今夜重要だったのは氷を壊したことだ(=初戦のプレッシャーをはね返した)。どのチームもそれぞれの国のリーグ優勝を勝ち取ったプライドをもって参加している。次のサン・ナゼールとの試合も厄介だ。幸いにもすぐ(16日)に国内リーグ戦がある。実戦のリズムを維持して今後の連戦に備えたい」 バレーに限らず、欧州のあらゆるスポーツクラブにとっての究極の目標とは、国内リーグで優勝し、大陸の覇者になること、つまりCL優勝に他ならない。 CLはバレーだけでなく各競技で広く親しまれ、関心を集めるフォーマットだ。最も有名で今季から規模を拡大させたサッカー界のUEFA(欧州サッカー連盟)チャンピオンズリーグの賞金総額は25億ユーロ(約4069億円)近くに上る。 島国日本にはつかみづらい感覚かもしれないが、地続きの国境が身近にある欧州各国の選手たちや指導者、クラブオーナーやファンにとって、“大陸を制する”征服欲や願望は相当に根強い。加えて、イタリアバレー界には昨季大会を制したトレンティーノを含め、国別最多20回の優勝を誇るイタリア勢こそがCL、ひいては欧州バレーの歴史を作ってきたという自負がある。 昨季、6年ぶりにスクデットを奪回した直後からペルージャのシルチ会長が「我々のトロフィーリストに唯一欠けるタイトルがCL。今季は何としてもCLを獲りにいく」と号令をかけているのはそのためだ。 開幕戦でペルージャは優勝候補としての強さを見せつけた。9月22日のイタリアスーペル杯優勝からリーグ戦での7連勝を加えると、公式戦9連勝になる。 イタリアでプロキャリアをスタートさせた石川は、“開幕から公式戦全勝”という初めての経験をどう捉えているのか。試合後の声はいつも以上に快活に聞こえた。 「ここは負けないチーム、負けられないチームだと思います。プレッシャーに感じることはたまにありますけど、それも滅多にない良い機会ですし。こういった環境に身を置くことは新しい経験として自分にプラスになっていく。こういう(常勝を義務付けられた)経験に今はまだ慣れてないですが、それが日常となるようなチームにいたいですし、そこで結果を残す選手でありたいと思います」 3日前のセリエA第7節ターラント戦で石川はスタメンを外れ、ほとんど出番がなかった。しかし、強豪ルーベとの大一番だった第6節では、途中投入されると得点力を爆発させ、ゲームMVPに選出される大活躍を見せた。 チームのアウトサイドヒッター起用は、チェスケ戦MVPのプロトニツキとセメニウクを交えた3人ローテーション体制が続く。 「彼ら2人は去年からずっとやってきているので(先発争いが不利でも)そこは仕方ない。ただ、前節(ルーベ戦)のように相手が強豪でどちらかの調子が悪いとなれば、すぐに出るチャンスはもらえます。ルーベ戦でも途中から入ってしっかり勝ちきれたし、そういうところを監督はしっかり評価してくれる。僕は入ったときにベストを尽くしてチームの勝利につなげたい」
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