ドイツ・クリスマスマーケットで猛スピードの車が群衆に突入、2人死亡・60人負傷…サウジ出身の医師を現場で拘束
【ミュンヘン=工藤彩香】ドイツ東部ザクセン・アンハルト州の州都マグデブルクで20日夜(日本時間21日未明)、クリスマス市の群衆に車が突っ込み、地元当局によると子供を含む2人が死亡、60人以上が負傷した。地元警察は車を運転していたサウジアラビア出身で同州在住の医師の男(50)を現場で拘束し、テロの疑いがあるとみて詳しい動機を調べている。 【写真】クリスマス市周辺で救助活動をする救急隊員ら
負傷者のうち15人は重傷で、死傷者はさらに増える可能性がある。この日はクリスマスを控えた週末で、多くの市民が訪れていた。地元テレビ局が報じた現場の映像には、屋台が並ぶ通路を行き交う群衆に、乗用車が猛スピードで突っ込む様子が記録されている。車は現場で約400メートルにわたり走行したとの報道がある。地面に倒れ込む負傷者や逃げ惑う人々で騒然となった。
同州のライナー・ハーゼロフ州首相によると、容疑者の男は2006年にドイツに入国し、同州で暮らしていた。単独犯とみられるが、宗教・政治思想など詳しい動機は不明だ。事件に使われた車はレンタカーだった。
事件を受け、ショルツ独首相は同日夜、X(旧ツイッター)で「私の思いは被害者とその家族と共にある」と声明を出した。ショルツ氏は21日、事件現場を訪問する予定だ。
ドイツでは16年12月、首都ベルリンのクリスマス市にトラックが突っ込み、12人が死亡するテロが起きた。これを機に、クリスマス市では入り口にバリケードを設けるなど、テロ対策が強化されてきた。当局は最近、クリスマス市を狙ったテロの兆候があるとして警戒を強めていた。