お腹が痛くて学校に行けない…「腸過敏性症候群」のお子さまへの接し方と対処法
過敏性腸症候群の対応や治療は?
過敏性腸症候群の治療には、「生活習慣の改善」や「投薬」「食事の改善」「ストレスの軽減」などが効果があると言われています。薬による治療を行う際は、自己判断で市販薬を用いるのでなく、小児科や内科を受診するのが良いでしょう。 過敏性腸症候群は、非常に対応が難しい病気だと言えます。まず、大きな原因の1つになっていると考えられるストレスを取り除くことは、実際にはとても難しい場合が多いです。 小学生であれば、登下校中や授業中などは自宅にいる時のように自由にトイレに行けるわけではなく、「トイレに行きたくなったらどうしよう」という心配がつきまといます。お友達の目が気になってトイレを我慢することもあるかもしれません。このようなことがさらに大きなストレスとして子どもの中に積もってしまうことが多いと考えられます。
過敏性腸症候群の子どもへの接し方
重要なのは周囲が子どもの症状をよく理解し、安心させてあげることです。本人は努力し、何とかしようと考えています。そのようなところに「心配しすぎだ」と責めたり、痛みを我慢させたりするようなことを言うことはまったくの逆効果。むしろ思っていることを正直に伝えられなくなり、症状を悪化させることにもなりかねません。午前中に調子が崩れることが多いため、遅刻を繰り返しても無理なく学校生活が送れるよう、学校側とも連携を取るなどの対応が必要です。ストレスなど、さまざまな原因から、腸の運動異常や内臓知覚過敏が生じ、腹痛、不快感を感じやすくなっていることを周囲がしっかり理解し、生活面では食事、排便のリズムを整え、排便習慣を回復させるよう調整していきましょう。また、通学中や学校生活の中でスムーズにトイレに行くことができるよう、配慮が必要です。 お腹の調子が落ち着かず朝から学校に行きにくいということが続いた場合には、どのように対応すべきか、まずはかかりつけの小児科医に相談してみましょう。小学生の場合、食生活や生活リズムの改善により改善する例も多く見られています。直接改善に役立つ薬はまだ開発されていませんが、薬により症状が楽になり精神的に安心できれば学校生活も送りやすくなります。子どものストレスを取り除いてあげることを中心に、さまざまな方法でアプローチしてみてください。 ※参考:過敏性腸症候群-日本小児心身医学会
プロフィール 監修:山中岳 子どもの心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。経験に加え、日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医・指導医、日本てんかん学会専門医・指導医、と数多くの認定資格を所持し、日々、てんかんや熱性けいれんなどのけいれん性疾患、頭痛、発達の遅れ、脳性麻痺など、主に神経疾患のお子さんの診察を行う。東京医科大学主任教授としても、次世代の医師の育成に力を入れている。