福島の雪と寒さが生んだ会津若松城「赤瓦」の“美” 白い壁に映える赤い瓦、紅白の配色にうっとり
そこで、水分が瓦の中にしみこみにくくするために、瓦に鉄分入りの釉薬(ゆうやく)をかけて焼きました。窯の中で高温で焼くことにより鉄が酸化して、瓦の色が赤くなったのです。雪と寒さへの対策をした結果、美しい見た目にもなって、一石二鳥です。 城主・保科正之によって「赤瓦」に 築城当時の会津若松城は黒い瓦で、江戸時代に城主になった保科正之(ほしなまさゆき)が赤瓦にしたと記録があります。保科正之は、三代将軍・徳川家光の弟です。
その後、戊辰戦争のときに砲弾を受けて天守が傾いたため、明治時代に取り壊されました。 現在の天守は1965(昭和40)年に再建されましたが、はじめは黒い瓦でした。2011(平成23)年、赤瓦に葺(ふ)き替えられて江戸時代の姿を鑑賞できるようになったのです。現在、天守に赤瓦を頂いている姿が見られるのは、会津若松城のみです。 再現された幕末の「あずき色」 江戸時代、瓦にかける釉薬は改良が重ねられ、赤瓦の色も変化していったといいます。今の会津若松城の赤瓦は、あずき色のようなシックな印象です。これは出土した瓦を分析して特徴を調べ、試作を繰り返して再現された幕末の赤瓦の色です。
天守の中に入ると近くで赤瓦を見られるので、じっくり観察してみてください。機械で生産されているすべて一様な規格品の赤瓦とは違い、会津若松城の赤瓦は、窯の中で焼かれる際に起こるさまざまな条件によって一枚一枚の色やツヤが微妙に異なり、それぞれに“個性”があることが分かります。 天守の中からは自然な瓦の味わいを、外からは白い壁との競演を楽しむのがおすすめです。 冬に訪れれば、赤瓦が雪に覆われ、屋根も壁も真っ白な天守が迎えてくれます。豪雪地帯だから赤瓦が生まれたという背景を知ると、雪に覆われていても心配になりません。雪景色の会津若松城を安心して眺めさせてくれる赤瓦に感謝です。
■桜と雪の競演も楽しめる 会津若松城では、桜の開花日と満開日を独自に観測しています。過去10年間(2014年から2023年)の平均値をとると、開花日は4月8日、満開日は4月14日です。 会津若松観光ビューロー公式サイトにて1954(昭和29)年以降のデータが公開されていますが、開花日・満開日ともに早期の上位5位はすべて2000(平成12)年以降となっています(2023年時点)。地球温暖化の影響もあり、会津若松城のお花見シーズンは早まっているようです。