キャベツで解熱?病院行かず、予防接種も受けさせず…行き過ぎた“自然派育児”にハマった当事者「余計なものは体に入れたくなかった」
■子どもに予防接種も受けさせず母子手帳が白紙状態に
自然派に深くハマってしまうきっかけとしては、妊娠・出産時に「精神的な不安定さ」や「母親として責任感」などがある。「妊娠出産は自然なほうがいい」という考えも根強く、出産後も「身近なママ友からの受け売り」や「SNSで出回るガセ情報」をうのみにするケースがあるという。 自然派志向だった当時は、「基本的に病院へは行かず、予防接種も受けさせていなかった」ため、母子手帳は白紙状態だった。「余計なものは体に入れたくなかった。いま振り返ると必要だとわかるが、当時はダメだと思い込んでいた。子どもが幸い大病しなかったので良かっただけの話だ」。 番組が取材した、自然派にハマってしまい後悔したAさんも、「ある日、子どもが熱を出した時、病院から処方されたタミフルが“怖い”と感じ、飲ませなかった。結果、気管支炎になり、長引かせてしまったのが子どもに申し訳なかった」と振り返る。
■インフルエンサー、メディアをきっかけに自然派にハマる人々
ライターの山田ノジル氏は、科学的な根拠が乏しい事象にハマる人たちを取材してきた経験から、共通点として「不安」を挙げる。「健康や環境、育児・出産の不安を『自然でないといけない』と商業的にあおる。有名人やインフルエンサーが、“自然な暮らし”を発信して、それをメディアがもてはやし、憧れた人がハマることも多い」。 さらに、「自然派には優性思想もあり、弱いものは淘汰されるといった考えになると、家庭だけでなく、社会のバランスがおかしくなっていく」と危険性を指摘。また、最近見られるオーガニック給食の推進運動についても、オーガニック食材そのものに問題はないものの「そこから『普通の食材には農薬が残っていて、発達障害や自閉症の原因になる』と主張し、オーガニック給食を食べなければならないと必要性を説く悪質なビジネスに繋がっている例もある」と説明する。
■コミュニティとの過剰な関係にも要注意「宗教の問題とすごく似ている」
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、「効果がないと完全に証明できず、逆に言えば、副作用もない。神社のお守りも、(科学的に証明された)効果はないが、人はそれを信じる」との持論を述べる。 政治学者の岩田温氏は「宗教の問題と似ている」と指摘し、「ある新興宗教は、輸血をしてはいけない。外科医からすれば、輸血するしか生きられないが、“信教の自由”も否定できない」と例示する。 カンニング竹山も「縄文時代から江戸時代まで、人間は自然派で生きるしかなかったが、平均寿命は短かった。現代医学で寿命が延びたことを、いかに自然派の人は説明するのだろうと、いつも思っている」と語っていた。 (『ABEMA Prime』より)