院内町の「さかえ亭」が28日で閉店 26年間切り盛り、広岡さん「客に恵まれた」
大分県宇佐市院内町香下の飲食店「さかえ亭」が、28日で26年間の営業を終える。切り盛りする店長の広岡良子さん(79)が飲食店で働くようになって60年。「体に無理が利かなくなった」と思うことが増え、来年1月に80歳を迎えることから決断した。店には閉店を惜しむ常連客らが連日、詰めかけている。 広岡さんは、宇佐神宮そばにあった「広岡食堂」に嫁いだ1964年から飲食店で働き始めた。当初は米のとぎ方や包丁の使い方もよく分からなかったが、義父母に習いながら調理技術を身に付けた。 土建業をしていた夫が亡くなった後、98年にさかえ亭をオープン。周辺に飲食店が少なく、大型トラックも止められることから毎日60人以上の客が来店する。
毎朝午前4時から仕込みに取りかかり、同11時からランチタイムの営業。休みは火曜だけで、コロナ禍前は夜も開けていた。 「いろいろな人に会え、常連さんとたくさん話ができ毎日が楽しかった。客に恵まれた」と広岡さん。 看板メニューは先代から引き継いだちゃんぽん(850円)。いりこやシイタケなどから取った和風だしの特製スープにたっぷりの野菜と宇佐名物の「かちえび」が入り、「早くておいしい」と半数以上の客が注文するという。定食メニューも多くあったが、現在は10種類ほどに減らしている。 最近は閉店を聞き付けた客が県外からも駆け付ける。広岡さんは「皆さんのおかげで悔いなくやめられる。最後の日まで元気でやり切りたい」と話した。