29歳農家・夢子さん、ルワンダへ渡る「アンフェアなコーヒー取引を変えたい」 労働搾取脱却へ鍵は副産物の活用
主に発展途上国で栽培され、労働対価に見合わない取引が問題になっているコーヒー産業。鹿児島県伊仙町のコーヒー農家矢野夢子さん(29)は11月末から、国際協力機構(JICA)海外協力隊員としてアフリカ中部・ルワンダに赴任し、果実や葉といった副産物の活用法を伝える。「不平等な構造を変えるきっかけになれば」と意気込んでいる。 【写真】〈関連〉伊仙町の位置を地図で確認する
コーヒー豆はブラジルなど南米や東南アジア、アフリカで生産され、欧米を中心とする非生産国が7割を消費する。原料価格を抑えるため現地の生産者が低賃金で働かされており、国際的に問題視されている。 矢野さんは地元で「宮出珈琲園」を管理しながら、一般的には豆を取り出した後に捨てられる果実や葉をスパイスとブレンドした商品の加工・販売を手がける。ルワンダではこうした副産物の可能性を広め、農家の収益向上を図るつもりだ。「構造を変えるには数十年かかる。その鍵となる手法を広めたい」 同国はコーヒー栽培を主産業とするが、高価な飲み物のため農家ですらほとんど飲まない。矢野さんは消費者、生産者の双方の視点から、“おいしい”コーヒー作りや収量増、販路拡大も支援。「技術を共有し、いいものを作りたい」と期待する。 コーヒー豆の99.9%を輸入に頼る日本では1杯が数百円で流通する。これに対し、国産は数千円に跳ね上がる。矢野さんは「一つ一つ摘み取る手間を考えれば妥当な値段」と指摘する。「どれだけ生産者が苦労しているのか。日本で1%でも作ることが、搾取を考えることにつながる」
南日本新聞 | 鹿児島
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