ドイツからやってきた新星クルッテンがスーパーGTデビュー戦いきなりの3位表彰台。相方の荒聖治も驚き「見事な適応力。21歳とは思えない」
岡山国際サーキットで行なわれたスーパーGT開幕戦のGT300クラスは、トップ5の内4台がブリヂストンユーザーという結果に終わった。しかもその内の多くがタイヤ無交換作戦を敢行してアドバンテージを築いたのに対し、非ブリヂストンでなおかつタイヤを交換して3位表彰台という結果を残したのが、ミシュランタイヤを履く7号車Studie BMW M4だった。 【写真】スーパーGT開幕戦:フォトギャラリー 7号車BMWは昨年、前半戦に優勝1回と2位1回を記録して一時は荒聖治がポイントリーダーとなったが、後半戦にポイントの上積みができず、荒の最終的なランキングは6位となった。今季に向けては、昨年も荒の相方として5レースに出走したブルーノ・スペングラーが第3ドライバーとなり、第2ドライバーには新たに21歳のニクラス・クルッテンが起用されることになった。 クルッテンはまだ短いキャリアながら、ヨーロッパでシングルシーターからスポーツカーレースと幅広いカテゴリーで活躍してきたドライバー。昨年はBMW M4を駆り、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパのスプリントカップを制している。 そんなクルッテンは、スーパーGTデビュー戦から印象的な走りを見せた。予選ではQ1で3番手に入り、5番グリッド獲得に貢献。決勝でも前半スティントで3番手争いを繰り広げた荒からバトンを受け取ると、事実上の4番手でコースへ戻った。終盤にはGT500の車両も入り乱れる中、タイヤ無交換で粘りの走りを見せる52号車Green Brave GR Supra GTの隙を突き、バックストレートでオーバーテイクして3番手に上がった。 見事デビュー戦で表彰台を獲得したクルッテンは、次のようにレースを振り返った。 「予想以上の週末になった。練習走行は少し苦戦したけど予選はとても良かったし、決勝ではセイジが素晴らしい仕事をしてくれた」 「僕は乗り始めからずっとタイヤをセーブしようとしていたけど、タイヤ交換をしていないGreen Braveのマシンが前に見えてきた。『よし、ここでプッシュだ!』と思ってアタックしたところうまくいって、最終的には3位でフィニッシュできた。シーズンの始まりとしてはとても良かったと思う」 そんなクルッテンの仕事ぶりに驚いていたのが、ベテランの荒だ。 「初めて組む21歳のニクラス選手ですが、予選でも速いし、決勝でも良い走りをしてくれました」 「何より彼がすごいのは、日本とヨーロッパのレースでは、どういう争い方をするかなどの線引きが違うと思いますが、そこで見事な適応力を見せてくれたことです。GT500クラスとの駆け引きも上手ですし、他の車両とのバトルになった時もすごくクリーンにレースしてくれました」 「21歳とは思えないし、日本でレースをするのが初めてとは思えない。本当にすごいなと思います」 また今回のレースではブリヂストン勢にワンツーを許すことになったが、荒は「このレースに向けて準備したものが我々なりにしっかり当てはまっていたのではないか」と評価しつつ、今後のレースについて次のように意気込んだ。 「ブリヂストンさんはすごくパフォーマンスが高く、今回もワンツーでしたが、我々も始まったばかりの新フォーマットで表彰台に乗れたことは良い経験値になりました」 「我々の持っている武器はミシュランタイヤさんのパフォーマンス、そしてM4のパフォーマンスなので、その武器を活かせるタイミングでしっかり1位をとって、最後までシリーズ争いをしたいです。これはいつも掲げている目標なのですが、いつも途中でダメになってしまうので……今年こそ最後までシリーズタイトルの権利を持って戦いたいです」
戎井健一郎
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