米国債、年初来リターン帳消しに-トランプ氏復帰や利下げ鈍化に備え
(ブルームバーグ): 米国債市場の年初来のプラスのリターンがここ2カ月にわたる低迷によりほぼ帳消しとなった。トレーダーはトランプ氏の米大統領への返り咲きと米金融当局による利下げペース鈍化の可能性に備えている。
米国債のリターンを示すブルームバーグの指数によると、2024年のリターンは約0.7%と、米金融当局が20年以来初の利下げを決定する前日の9月17日に付けたピーク(4.6%)から低下した。
米国債市場は、米経済の底堅さを示す兆しのほか、関税引き上げや減税などの選挙公約を掲げたトランプ氏が米大統領選に勝利したことでインフレ加速を招くとの見方が重しとなっている。
コロンビア・スレッドニードル・インベストメントのストラテジスト、エド・アルフセイニ氏は「米国債市場は指針を見つけるのに苦労している。変動要因が多過ぎる」と述べた。
投資家は米金融当局による緩和策で利益が得られると期待していたが、米10年債利回りは9月18日以降で約0.75ポイント上昇と、利下げサイクル開始後2カ月間のパフォーマンスとしては1989年以降で最大の上昇となった。
10年債利回りが5月以降で初めて4.5%に上昇する中、15日には押し目買いも見られた。24年の年間リターンがプラスになると一部で期待されていることが示された。
一方、米金融当局による追加利下げ幅を巡る疑問が高まる中、米国債の下落局面が終息したとも結論づけにくいとの見方もありそうだ。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が先週、利下げを急ぐ必要はないとの見方を示したことから、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で政策金利が引き下げられる確率は、金融市場で五分五分とみられている。
ジェイ・バリー氏率いるJPモルガン・チェースのストラテジストは先週のリポートで、ここ数カ月間の売りを受け、10年債は「割安にみえる」が、買いの好機と判断するにはまだ説得力に欠けると指摘。「最近の動きが弱まるまで辛抱強く待つことを選好する」とした。