（写真：東奥日報社）

　青森県教育改革有識者会議（議長・大谷真樹知事参与）は17日、県内に「オンライン学習配信センター」を設置し、県立高校で遠隔授業を導入するよう宮下宗一郎知事に提言した。生徒数が減少しても学びの質を保障し、単位制導入と組み合わせることで地域校存続に可能性が残るほか、不登校生徒への活用、教員の負担軽減にも効果が期待できる。宮下知事は「（地域の）学校存続を前向きに捉えられる画期的なアイデア」と述べ、肯定的な見解を示した。 　大谷議長が同日、本年度協議した内容をまとめた提言書を県庁で説明。同センターについて「イメージは青森市に配信拠点があり、地方の高校や中学校がいろいろなコンテンツを共有できる仕組み。不登校の子は教室以外の居場所で参加できる。今のテクノロジーを使えば実現可能だ」と語った。 　また、生徒の進路変更や他県・他校からの受け入れに柔軟に対応できる単位制を拡大させ、遠隔授業と組み合わせることで、子どもたちが県内どの地域にいても学びたい科目の授業や講習を受けられるなど、多様な選択肢が得られるという。 　県教育委員会によると、北海道や高知県が一部高校で遠隔授業を導入しているという。 　宮下知事は「人口減少で安易に高校統廃合や学級数削減が進んできた環境ではない、新しい形をつくるきっかけになる。さまざまな課題解決につながる有効な一手。提言が実現できれば、青森県の未来が大きく変わる」と述べた。また、喫緊の課題である教職員不足の解消、スクールサポートスタッフの増員にも「予算で応援していく」とした。 　提言はこのほか、小中高校と特別支援学校の授業の在り方、県立高校の入試制度改革にも言及。入試日程を見直すほか、ウェブ出願や入学手続きのオンライン化など入試業務のデジタル化による教職員の負担減に取り組むよう求めた。今後、知事と県教委で構成する「県総合教育会議」での協議を経て、県教育大綱に反映させる予定。