【ライブレポート】YOASOBI結成5周年記念、初のドームライブ2days大阪公演大盛況
■5周年を経てあらたなスタートを切ったYOASOBI、約7万人を魅了した京セラドーム2days 【画像】花道を歩くYOASOBI YOASOBIが、結成5周年を記念する自身初のドームライブ『YOASOBI 5th ANNIVERSARY DOME LIVE 2024 “超現実”』2days大阪公演を敢行した。 2024年10月1日に結成5周年という大きな節目を迎えたYOASOBI。2019年の楽曲リリースから、目まぐるしい勢いで駆け抜けた5年間を振り返り、そのなかで見出したYOASOBIの姿を体現するツアータイトル“超現実”。 京セラドーム大阪での2days公演、両日チケットソールドアウトにて、約7万人が京セラドームを埋め尽くした。 目まぐるしい演出と、自身の想いを乗せた力強いパフォーマンスで駆け抜けた2daysより、初日10月26日公演のレポートを以下に公開する。 ■ライブレポート 2019年10月1日に産声を上げた、コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraによる“小説を音楽にするユニット”YOASOBI。環境も生活も何もかもが一変したこの5年は、異変ともいうべき事態で、同時に紛れもなく現実で、それに向き合うことに悩みや苦しみもあったというAyase。音楽活動をするなかで突如生まれた存在が、日に日に元の自分を侵食していくような感覚もあったというikura。ふたりのミュージシャンがYOASOBIという現象を乗りこなし、ここをあらたなスタートと銘打つ晴れ舞台『YOASOBI 5th ANNIVERSARY DOME LIVE 2024 “超現実”』が、10月26日、大阪・京セラドームで幕を開けた。 涼しい秋風も吹き抜けるドーム周辺では、グッズ販売以外にもコラボ飲食ブースや撮影スポットなどさまざまな催しが用意され、ホクホクに温まったファンが会場に入りきった18時過ぎ。過去のライブなども散りばめられたオープニング映像から、不穏なSEに重なる「超現実の世界へようこそ」というアナウンスとともに、LEDの裂け目から巨大なモンスターの爪と眼が覗き、1曲目の「セブンティーン」に突入。度肝を抜く演出と、YOASOBI曲の中でも極めてアグレッシブなナンバーに、会場は圧倒されながらも一気に超現実の世界に引きずり込まれる。 続く「祝福」から、Ayaseとikuraのシルエットが突如変形していくような描写を経て「怪物」へ。いたる所から上がる火柱に照らされようやく巨大なステージの全貌が見えてきた。LEDには時折躍動するYOASOBIのふたりやバンドメンバーが映し出されながら、カットインするように蠢く異形のモンスターが国内初披露の新曲「UNDEAD」にもフィットし、観客の心拍数を上昇させる。 MCを挟んで「ハルジオン」からは一転してソリッドなパートへ。「ミスター」「もう少しだけ」ではikuraの背後に抜けるアーバンな背景と相まって、YOASOBIの楽曲が日常の色々なシーンに寄り添ってくれている事実を改めて実感する。 セットと背景が海辺に転換し、ノスタルジックな風景のなか届けた「海のまにまに」と、満天の星空に響いた「優しい彗星」は、すべての楽曲に原作小説をもち、その異なる世界線を自在に行き来してきたユニットらしいシーンだ。 Ayaseが実妹の家の”2DKのDK部分”に住まわせてもらっていたときの配置を再現したというセンターステージ。ここで初期4曲(「夜に駆ける」からこのとき披露した「たぶん」まで)を制作した、と懐かしむAyase。これまでの道程を大切に、周囲への感謝も忘れず一歩ずつ前に進むふたりの実直さが滲む。主人公の成長を祝し幸せを願うバラード「ハルカ」を歌うikuraの表情もひときわ温かい。 そんな原点とも言える場所から、リリース前の新曲「New me」を披露。CMで流れている一部を除き誰もが初めて耳にするのに、自然と体が揺れるノリとメロディ。この場があらたなスタート地点でもあることを印象づけながら、YOASOBIの最大の武器であるポップネスが遺憾無く発揮された一幕だった。 ライブにおけるYOASOBIを5年間支えてきたバンドメンバー・仄雲(Dr)、やまもとひかる(Ba)、ミソハギザクロ(Key)、AssH(Gu)というバンドメンバーのソロ回しを経て、ここまでも客席を彩っていた制御型LEDライト「FreFlow(R)(フリフラ)」を使ったクイズコーナーでひと盛り上がり。音楽へのストイックな姿勢はもちろんだが、1年間ラジオの生放送を担当するなど、こうしたバラエティ的なことまでやってのける懐の深さが、老若男女問わず愛される魅力のひとつであることは間違いない。 後半戦開幕、というAyaseの掛け声とともに、ikuraがエレガントなベールを纏って登場。「勇者」で一気に空気を引き締めると、「あの夢をなぞって」冒頭のアカペラには観客から大歓声が上がる。タオル回しでひとつになる「三原色」はYOASOBIライブの風物詩だ。 「夜に駆ける」が突然多くの人に聴いてもらえたことで一挙に変わった生活や、コロナという社会の変化に対する恐怖を乗り越え、支えてくれる人と一緒にあらたな世界に飛び込むことが今は怖くなくなったと感慨深そうに語ったAyaseのMCのから、5周年記念の10月1日にリリースされた「モノトーン」を披露。周囲との関係性、距離感に対する葛藤を等身大の言葉で紡ぐ歌詞が、YOASOBI印ともいえるサウンドに乗って強い説得力を放つ。次いで、目まぐるしく変わる日々のなか、常に取捨選択を迫られながらも、どうしても捨てられなかった、磨き続けてきたものがまさに今日のステージであるというikuraのMCから届けられた「アンコール」も叙情的に響く。そんなふたりからバトンを受け取り、約3万5千人が心音を響かせた「HEART BEAT」を経ていよいよクライマックスへ。 音楽を通して出会えたあなたとより近い距離で、という言葉とともに感謝を届けた「ラブレター」、気球に乗ったふたりとカートに乗ったバンドメンバーがステージの枠を飛び出した「アドベンチャー」で祝祭感が溢れる。キッズダンサーを呼び込み、「ツバメ」「アイドル」という、方向性は真逆ながら全年齢対象でスケールの大きな楽曲が改めて会場をひとつにしたのちの「群青」。2番からはikuraが会場を練り歩きながら歌を届ける。初の単独ドーム公演、すなわち過去最多の人数がYOASOBIだけを見に来たというこの場所ならではの大合唱を作り出し、本編は幕を下ろした。 2日間の大阪公演ののち、11月9日・10日には東京ドーム公演を開催。12月~2025年2月には、日本人アーティスト最大級となるアジアアリーナツアーを控え、6月にはスペイン最大級のフェス『Primavera Sound Barcelona』への出演も発表されたばかり。5周年を経てあらたなスタートを切ったYOASOBIがまなざす世界は、彼らの音楽とライブをもって体感するのがいちばんであると、改めて感じさせられた夜だった。
THE FIRST TIMES編集部