福島県大熊町の工業団地に研究施設が完成 自動車用バイオエタノール燃料の製造技術などを開発
トヨタ自動車やENEOS(エネオス)、スズキ、マツダなど7社でつくる「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」が福島県大熊町の大熊西工業団地に整備していた研究施設が完成した。年明けをめどに操業を開始する。脱炭素に効果があるとされる自動車用バイオエタノール燃料の製造技術などを開発し、カーボンニュートラルを進める。26日、現地で竣工(しゅんこう)式が行われた。 バイオエタノール燃料は植物などが原料。燃やすと二酸化炭素が出るが、燃料になる前に植物が光合成で二酸化炭素を吸収しているため、脱炭素につながるという。研究施設ではイネ科の植物「ソルガム」や、廃棄された食品を原料にしたバイオエタノール燃料の製造技術、実用化などを研究する。年間約60キロリットルの燃料を作り、国内外の研究用自動車などに役立てる計画。製造過程で出る二酸化炭素を合成燃料として活用する方法も検討する。 施設は約2万平方メートルの敷地に建設し、ソルガムを燃料に加工する設備やタンクなどを備える。総事業費は約50億円で、国の自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金を活用した。従業員は地元を含め約40人を雇用した。
竣工式では組合の中田浩一理事長が「少しでも地域に貢献できる存在になりたい。力を合わせ、未来に向けて進んでいく」とあいさつした。吉田淳町長は「町が掲げるゼロカーボンの推進に大きく寄与する」と期待した。関係者がテープカットして施設の完成を祝った。施設の見学会も開かれた。