<サッカー>U-23のリオ五輪出場可能性は死の組免れても50%
もっとも、1次予選を勝ち抜いたアジアの16チームが集結するわけだから、サウジアラビア、北朝鮮、タイも当然のことながら侮れない。 なかでも、警戒すべきは、AFC U-22選手権オマーン2013で準優勝に輝いたサウジアラビアだろう。その際、優勝したイラクと好勝負を演じており、隣国カタールでの開催という点も、彼らに優位に働くだろう。 「自分たちよりも確実に強いと思う。パワーがあって、スピードがあって、縦に速いサッカーをしてくると思う。それをさせないようにすることが大事になる」と分析したのは、チーム立ち上げ以来、背番号10を背負う中島翔哉(FC東京)だ。 また、センターバックのレギュラーを務める岩波拓也(ヴィッセル神戸)も「カウンターが鋭いと思うので、注意していかなければならない」と気を引き締めた。 ただし、グループステージは2チームが勝ち抜けるため、簡単ではないが、難しいミッションでもない。“本当の予選”が始まるのは、このあと、一発勝負のノックアウトステージに入ってからだ。 グループAの1位はイランになると予想されるため、ベスト8の相手は、日本が2位突破ならイラン、1位突破なら、育成年代での躍進著しいカタール、あるいは中国となる。 この「鬼門」を突破して初めてイラクや韓国と、出場権を懸けて準決勝を戦うことになる。勝てば天国、負ければ地獄――この準決勝、もしくは3位決定戦は、近年の日本サッカー界において稀に見る死闘、痺れるようなゲームになるだろう。たとえるなら、96年アトランタ五輪・アジア最終予選準決勝のサウジアラビア戦(前園真聖の2ゴールで勝利したあのゲーム)や、97年フランスW杯・アジア第3代表決定戦(岡野雅行のVゴールで制したあのゲーム)に匹敵するような。 出場権獲得の可能性は、フィフティ・フィフティだろうか。困難なミッションなのは間違いない。最後に再び、選手たちの声に耳を傾けてみる。 「すべて難しい試合になると思うけど、相手がどこだろうと勝たなければオリンピックに行けないし、アジアで負けているようではオリンピックでも勝てない」(中島翔哉) 「オリンピックに出られれば、いろんなものが得られると思うから、最終予選は自分のサッカー人生において大事な大会になる。オリンピックに行くために必要なことはすべてやらなければならない。だから、今がすごく大事だと思う」(岩波拓也) 最終予選の開幕まであと4か月、10月と12月、国内外の3度の合宿を経て、年明けすぐにカタールに乗り込む。 (文責・飯尾篤史/サッカーライター)