5勝目の巨人エース右腕、懐かし高校時代「テスト前に『赤点ぎりぎりなんで勉強教えてください!』ってよく部屋に来てました」先輩が回想
◆日本生命セ・パ交流戦 西武1―4巨人(31日・ベルーナドーム) 巨人が西武に完勝して3連勝。5月を白星で締め、貯金を4として2位に浮上した。前回ノーヒットノーランを達成した戸郷翔征投手(24)は7回1失点でチームトップの5勝目。ルーキー西舘がプロ初セーブを挙げた。 【動画】菅野と戸郷がキャッチボール * * * 勢いは止まらなかった。戸郷は右腕に力を込め直した。4―0の6回。2死一、二塁。外崎に粘られながら9球目のフォークで空振り三振に仕留め、小さく拳を握った。7回99球を投げ、3安打1失点でチームトップ5勝目をマーク。「チームもいい状況になってきました。もっと勝てるように頑張ります」とお立ち台で笑顔を咲かせた。 淡々と腕を振った。前回ノーヒットノーランを達成した右腕は初回1死から滝沢に左翼への三塁打を浴び、「(ノーノーから)記録を残したいなって思いましたけど緊張していたので、最初の安打で戻ったというか、自分のピッチングを貫けた」。切り替え、最速150キロを計測したキレ味抜群の直球を軸に打たせて取る投球。7回先頭中村剛に左翼席へソロを浴び、17イニングぶりの失点となったが今季6度目のハイクオリティースタート(HQS=7回以上自責2以下)。防御率も1・78まで良化した。 チームに追い風をもたらした。投手主将を担うエースは「これまで菅野さんに頼ってばっかり。優勝するためには僕たちだけじゃダメ。新しい選手が出て競争していくことがカギ」と語る。前回5月24日の阪神戦(甲子園)ではノーヒットノーランを達成。その姿はファンだけでなく仲間の心も動かした。ファームで調整中の戸郷と同学年の横川は「尊敬しかないし同級生として誇らしい。刺激になるし、便乗できるように頑張りたい」と奮起。戸郷と同じくカード頭を任されている山崎伊も「めっちゃすごい」と心を動かされ、チームが一体感を増した。 輝かしい記録を成し遂げてもおごり高ぶることはない。聖心ウルスラ学園時代の先輩で自主トレの手伝いもしている浜内侑良(ゆら)さん(25)は懐かしそうに語る。「寮にいた時はテスト前に『赤点ぎりぎりなんで勉強教えてください!』ってよく部屋に来てました」。偉業達成を甲子園で見届けた先輩は「すごくなっても、こうやって今でも付き合い続けられるのはあいつが変わってないからなんです」と目尻を下げた。 この日も「不用意な1球がホームランにつながったので、岸田さんと反省をしっかりしていければ」と気を引き締めた右腕。若きエースがチームを押し上げ続ける。(水上 智恵)
報知新聞社