坂本勇人の至高の“打撃術”を公開 「フォームよりもボールを捉える『イメージ』を重視」
基本は右手で押し込む感覚だが……
なお、よく「高めは前のワキを締めないと打てない」と言われますが、決してそんなことはないというのが僕の考えです。もちろん「ワキを締めて叩く」という打ち方が合っている人もいるとは思います。ただ、普段から前のワキが空いた形で打つ人というのは、高めを打つときもやはりワキを空けています。たとえば柳田悠岐選手(ソフトバンク)などは高めでも大きくワキを空けながらガーッと振り上げていますし、僕も実際、2016年に当時日本ハムの大谷翔平投手(現ドジャース)から打った通算250本目の二塁打などは、高めの直球に対して左ワキを大きく空けていた記憶があります。これもやはり「形」ではなく「イメージ」が一番大事で、高めの打ち方であっても正解はないのかなと思いますね。 また、インパクトでの力の伝え方のイメージとしては、普段は右手で押し込んでいく感覚なのですが、状況によって左手で引っ張っていく感覚に変えることもあります。もともと「左軸」で打っていたとき(2015年まで)は左手でリードしていくイメージが強くて、「右軸」にした途端に右手で打つイメージが強くなったという経緯があり、どちらも経験してきたので2つを使い分けられる。この部分は僕の強みかもしれません。ちなみに僕は野球をするときは右投げ右打ちで、サッカーやボウリングや卓球などスポーツ系はすべて右をメインに使っていますが、基本的には左利き。字を書くのも箸を持つのも左手。だから器用に扱えるのかなと思われるかもしれません。ただ正直、そこはあまり関係ないですね。 これは僕の感覚なのですが、左手で打つイメージを強くするとレフト方向へのヒットが増え、右手で打つイメージを強くすると右中間などに強い打球が飛びやすくなる気がします。そのメリットを理解し、「右手が強すぎてなかなか引っ張れないな」というときは前者に切り替えたりしています。ヒジを支点にして手の甲でパーンと前へ払っていくような感覚なので、手首が立ってヘッドを返しやすくなるのです。ただし、左手で強く打つ場合はダウンスイングになりやすく、逆方向にもあまり飛ばせないという印象。したがって、先ほども言ったように通常は後者です。ボールの内側に右手を落としながらポンッと入れ、面を長くつけて押し込んでいくイメージ。実際にインパクトの局面では「ボールが当たってから押し込む」という意識もありますね。 写真=BBM
週刊ベースボール