「誰が考え指示したか」 長崎・大石知事の政治資金問題 きょうから集中審査、焦点は?
長崎県の大石賢吾知事の政治資金問題について、県議会総務委員会は28~30日、真相究明を図るため集中審査を再び開く。9月末に初めて開いた前回までの大石氏の説明などを踏まえ「架空貸し付け」疑惑と「迂回(うかい)献金」疑惑に絞って、政治資金に詳しい岩井奉信・日本大名誉教授(政治学)に集中審査の焦点を聞いた。 -医療団体の寄付286万円が自民党支部などを経由し大石氏側に流れた「迂回献金」疑惑について。 政党支部への企業・団体献金など一つ一つは適法だが、全体で見ると迂回献金の構図。意図してやれば違法行為になる。この仕組みを誰が考え、指示したのか。違法性の認識はあったのか。県議の後援会からの借り入れにした意図は何だったのか。 -県議は取材に「(大石氏側への送金は)選挙コンサルタントの指示だった」と証言しているが、選挙コンサルは集中審査の参考人招致に応じていない。 そこは鍵になる部分。「コンサルが出てこない」と説明責任を全てコンサルに押しつけることになりかねない。真相究明を図る責任が知事にはある。また関係者がその流れについて公的な場で話すことは必要。議会で説明し、議事録に残すことは最も大事だ。 -大石氏が自らの後援会に2千万円を「架空貸し付け」したとされる疑惑について。 貸し付け自体は政治資金規正法に規定がないため、収支報告書に記載すれば適法。企業・団体から政治家個人や後援会への寄付が禁じられているため、抜け道的に事実上の献金になっているケースがある。ただ政治家が自身の後援会に貸し付けるというのは聞いたことがない。不自然さを感じる。 -大石氏は会計処理のミスで「二重計上」の誤りだったとしている。 (会計)管理がずさん。通常はあり得ない。知事の後援会について公的な監査はないが、収支報告書は一般に公開される。県政のトップが政治資金の管理を適切にするのは当然のことで、チェックされているとの意識が足りないのだろう。 -大石氏は、貸し付けは選挙コンサルからの提案で、選挙費用として大石氏個人が借りた2千万円の返済に充てるため「返してもらえれば、ありがたかった」と釈明している。 懐事情が厳しいということだろうが、既に選挙費用として使っているわけで、(後援会側が)戻す原資は何だったのか。選挙コンサルが資金の管理まで関わっていたのか。会計の責任者はどう認識していたのかも気になる。 ■ 集中審査は3日間とも午前10時開始。リモート参加を含め、自民支部の会計責任者や後援会関係者ら計7人が参考人として出席予定。大石氏も出席する。一般傍聴できるほか、県議会のホームページでも視聴できる。