【京阪杯】前走GⅠが頼りない波乱のレース “今年は違う”ビッグシーザーが重賞初制覇に王手
スプリント路線の端境期
ジャパンCデーを締めくくるのは京都の京阪杯。秋開催最後の重賞のはずが、今年の京都は年末まで開催が続く。秋と冬の境目に位置する重賞は秋の続きようで、そうでもなかったりと、ちょっと難しい。 【マイルチャンピオンシップ2024 推奨馬】持ちタイムNo.1! 勝率33.3%&複勝率66.7%データ該当 (SPAIA) 秋最初のGⅠスプリンターズSから8週間。この間隔が波乱を呼ぶ。夏から秋に旬を迎えるスプリント戦線は早くも端境期。来年につながる馬の出現を待ちたいレースだ。データは20~22年阪神を含め、過去10年分を使用する。 1番人気【2-3-0-5】勝率20.0%、複勝率50.0%、2番人気【2-0-0-8】勝率、複勝率20.0%、3番人気【1-3-0-6】勝率10.0%、複勝率40.0%と上位人気は走らないわけではないが、なんとも微妙な数字が並ぶ。 10番人気以下【1-3-5-70】勝率1.3%、複勝率11.4%と3着の半数が二桁人気。馬券はよほど工夫しないと当たらない。 年齢では、あと2カ月足らずで4歳になる3歳が【2-2-0-15】勝率10.5%、複勝率21.1%と確率上はトップ。といっても、4歳【3-4-2-26】勝率8.6%、複勝率25.7%、5歳【3-2-5-43】勝率5.7%、複勝率18.9%なので、分母を考慮すれば、世代の差はほぼないに等しい。 6歳【2-0-3-32】勝率5.4%、複勝率13.5%も含め、4世代の勝負。この辺の混戦具合が京阪杯の難しさの象徴でもある。
重賞王手はビッグシーザー
スプリンターズS敗退組、CBC賞からここまで待ったドロップオブライト、オパールS1着ビッグシーザーと各馬一長一短。今年もみるからに難解な一戦だ。 ややこしいのが前走GⅠ【2-1-2-25】勝率6.7%、複勝率16.7%と頼りないこと。スプリンターズS【2-1-2-24】勝率6.9%、複勝率17.2%は前走6着以下【2-1-2-21】、前走5番人気以内【0-0-0-8】、同6番人気以下【2-1-2-16】となっている。 15番人気9着だったエイシンスポッターはオープン2勝の京都なら終いの切れが違う。11番人気10着モズメイメイは今夏3、1、3着。好位に控えて差す競馬を覚え、成績が上向いた。スプリンターズSは位置取りが後ろすぎた。GⅢなら再度好位差しだろう。 GⅠ以外の重賞組では北九州記念が【0-0-0-9】。該当馬は見当たらないが、今年は北九州記念とCBC賞の開催日程がひっくり返った。だとすると、ドロップオブライトは危ないのではないか。GⅠに向かわずにあえて、ここまで待機したのは陣営の意図があるゆえだろうが、半端なレース間隔は気になるところ。 前走スワンS【2-4-0-21】勝率7.4%、複勝率22.2%は6着ウインカーネリアン、10着アグリがいる。6~9着【2-0-0-7】、10着以下【0-0-0-10】。1400mのスワンSで負け、1200mで巻き返しが理想だ。 ウインカーネリアンはマイル中心に実績があり、この形にハマらない予感もあるが、今年の高松宮記念4着馬。道悪でスピード勝負にならなかったのもアシストした印象だが、1200mでまるで通用しないわけではない。 最後に前哨戦的位置づけであるオパールS【1-1-2-18】について。着順の内訳では、3着以内【1-1-2-11】。2着【0-0-0-5】なので、必ずしも好走馬ではないものの、4着以下【0-0-0-7】なので、好走が目安になる。 買えるのは1着ビッグシーザーだ。京都芝1200mは淀短距離S、オパールSと今年負けなし。内回り向きの機動力があり、オーシャンSでは決め手もみせた。昨年の京阪杯は5着だったが、オパールS12着からの参戦だった。明らかに今年はちがう。重賞だとワンパンチ足りない印象だが、今年のメンバーで京都芝1200mだったら、重賞制覇に手をかけたといっていい。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳