新国立競技場の「冷房」 設置されていたらどんなものだった?
伊東豊雄氏の当初案は「自然換気」
座席空調はまだ珍しい設備だと言え、他のスタジアムは霧状の水を吹き出すミストシャワーなどで熱中症対策をとっています。新国立競技場では冷房設備を削るかわりに休憩所や救護所を増やし、医療体制を強化する方針も示されていますが、どうなるでしょうか。 新国立の当初案見直しを強く求めていた建築エコノミストの森山高至さんは「予算を下げるためには当然の選択と言えるのでしょう」とした上で、「空調という言葉にとらわれると設備的なものをイメージしてしまいますが、自然の温度差や空気の流れを工夫する設計も広い意味での空調。ザハとコンペを競った伊東豊雄さんの当初案は、座席の下に何も入れず、外気を通り抜けさせる自然換気の提案でした。今回、再応募した伊東さんと一騎打ちとなる隈研吾さんも、建物を格子で覆って日陰をつくったり、大胆に緑化したりするなどの手法が得意です。結果的に建物の中にいる人の体感温度が下がれば空調と言えなくもない」と指摘します。 現時点で伊東案や隈案を含めて、再計画の内容は表に出てきていません。従来のコストや設備という固定概念を超え、本当にこの難題を解決する案を見出すことができるのか。選ぶ側の見識や力量もまた問われるはずですが、果たして今回は大丈夫でしょうか。 (関口威人/Newzdrive)