貨物船座礁で休業の定置網、4年ぶり水揚げ 八戸みなと漁協(青森県) 良型サバなど魚市場に4トン
2021年8月、八戸沖で発生した貨物船の座礁事故を受け、定置網漁を休漁してきた青森県八戸市の八戸みなと漁協(尾崎幸弘組合長)が20年の漁期以来、約4年ぶりに漁を再開した。小型漁船「第38善宝丸」(9.7トン)が13日、漁獲したサバやサケ、イナダなど約4トンを八戸港第2魚市場に水揚げした。船長を務める尾崎組合長は「事故前と同じように良型のサバがたくさん取れて良かった」と安堵(あんど)の表情を見せた。 今季は今月6日から網入れを始め、魚の警戒心を解く「運動場」や誘導された魚を入れる「身網」、魚の進路を遮る「垣網」などを順次設置、12日に網起こしを行った。 13日は午前5時20分ごろに八戸港に入港。辺りがまだ暗い中、慌ただしく荷さばきが行われ、タンクいっぱいに魚が積まれた。サバを見た市場関係者や仲買業者らは「これはすごい。最高のサバだ」と口々に高評価。ある仲買業者は「善宝丸の漁場は座礁事故前から良いサバが取れていた。今回も申し分ない」と話していた。 サバは3.3トンほど漁獲。1匹600グラム~1キロほどと良型の魚体が多く、10キロ当たり650~5500円で取引された。1匹1キロほどの大型のサバ10匹入りは、1ケース当たり1万~1万4800円の高値で競り落とされた。飲食店に出荷されたり締めさばなどになるとみられる。尾崎組合長は「久々の漁で、うまくいくか不安だったが体が覚えていた。漁師として、またこうして漁ができて良かった。こんなに取れるとは思わなかった」と喜びの声を上げた。 同日は、貨物船の船主側代理人・赤塚寛弁護士も水揚げの様子を見守った。赤塚弁護士は「座礁事故の影響で、長期にわたり休漁せざるを得なくなったことについて、改めておわびしたい」と謝罪。安全に操業されたことを確認し「安心した。市川漁協(八戸市)も漁に向けて準備しているので、引き続き状況を確認していきたい」と話した。