海を渡ったマツダ「コスモスポーツ」が1660万円で落札! 仏で新車で販売された唯一現存する個体は、メディアで引っ張りだこの1台でした
フランスに新車で輸入された貴重な1台
ロータリーの実用性・耐久性を知らしめるべく、1968年のマラソン・デ・ラ・ルート84時間耐久レースにも果敢に挑戦、初出場ながら4位完走という戦果を上げたコスモスポーツだが、当時フランスで新車として販売されたのはわずか3台だったと言われる。 そして今回、オークションに出展されたのは当時輸入された3台のうち、唯一現存する個体「シャシーナンバーL10B-10769」である。この個体は1970年式。1967年から生産が始まった初期モデル(L10A)に対してロングホイールベース化され、エンジンもよりパワフルとなった後期モデル(L10B)だ。 もともと程度が良かったことに加え、2015年にはフルレストアが行われている。エンジンのオーバーホール時には、日本からロータリー・エンジンのスペシャリストが招聘されたという。出品された時点での走行距離は7万3500kmと、年式を考えればかなりのローマイレージだ。 以前はル・マン・モーター・ミュージアムやレトロモービルのマツダ・ブースへの展示をはじめ、さまざまな展示会やクラシックカー・イベント、雑誌やテレビなど数多くのメディアにも「出演」してきたという。マニュアルやスペアキー、キーホルダーや車載工具といったものまで、オリジナルが揃っているという奇跡的なこのコスモスポーツの、オークションでの落札価格は10万3500ユーロ(邦貨換算約1660万円)。 願わくば、マツダ・ロータリーの歴史の語り部として、今後も長くこのコンディションを保っていってほしい。
長尾 循