【解説】イスラエル軍“部隊撤収”の動き…なぜ? 停戦や人質解放、今後は?
イスラエルとイスラム組織「ハマス」との戦闘が始まって半年。これまでになかった動きが出ています。イスラエル軍はガザ地区南部から部隊の大部分を撤収させました。この動きの背景には、何があるのでしょうか。NNN元カイロ支局長で中東地域も担当していた、日本テレビ国際部の富田徹デスクが、次の3つのポイントを中心に詳しく解説します。 1. なぜイスラエルは撤収したのか? 2. 停戦と人質解放はどうなるのか? 3. 今後の行方は?
■ガザ地区では人口の半分、約110万人が「壊滅的な食料不足」
パレスチナ自治区・ガザ地区を実効支配している「ハマス」とイスラエルとの戦闘が始まって半年。民間人を含め、多くの死者が出ています。 ガザ地区保健当局は、これまでにガザ地区で3万3000人以上が亡くなった、と発表しています。 食料危機も深刻で、国連世界食糧計画などによると、ガザ地区では人口の半分にあたる約110万人が「壊滅的な食料不足」に苦しんでいるということです。また、国連は、これまでに27人の子供が栄養失調で亡くなった、とも発表しています。
■イスラエル軍、南部ハンユニスから地上部隊の大部分を撤収
一方、ガザ地区には、イスラエルから連れ去られた人質が、今もなお130人以上拘束されています。 こうした状況のなかで、今回、イスラエル軍は、南部ハンユニスから地上部隊の大部分を撤収させた、と発表しました。 ガラント国防相は「南部ラファでの任務を含む、今後の任務に備えるために撤収した」としています。
■イスラエル軍 なぜ“部隊撤収”? 背景にアメリカの存在か
鈴江奈々キャスター 「富田さんに、次の3つのポイントについて話を聞きます。 1. なぜ、イスラエルは撤収したのか? 2. 停戦と人質解放はどうなるのか? 3. 今後の行方については? まず1つ目ですが、イスラエル軍が撤収の動きを見せているのは、どんな背景が考えられるのでしょうか」 日本テレビ・国際部 富田徹デスク(NNN元カイロ支局長) 「イスラエルは、ずっとハマスの殲滅を目標としてきました。そういうなかで、撤収ということになると、これはやっぱりアメリカの意向も影響しているのでは、という見方もあります。 というのも、イスラエルの大きな後ろ盾になっているのがアメリカですけど、今月1日、イスラエル軍の空爆で、ガザで食料支援を行っていたアメリカのNGO団体の職員ら7人が亡くなる事件がありました」