ヘルスビッグデータのJMDCは「次のエムスリー」になるか
JMDCは健康保険組合の医療データを匿名加工し製薬・保険会社等へ提供している。2002年創業の日本医療データセンターを前身とするノーリツ鋼機の子会社で、2019年12月に上場した(撮影:梅谷秀司)
ヘルスビッグデータ事業で急成長を続けるJMDC(4483)。同社は、健康保険組合や医療機関から得た医療データを匿名加工し、製薬会社や生命保険会社などに提供する。データ事業の強みは何か、松島陽介社長に話を聞いた。 ――急速な成長を遂げているヘルスビッグデータ事業の強みを教えてください。 データビジネスは当社のみならず業界全体で伸びている。デジタル化の流れの中で、核となるデータの需要が増している。当社は多種多量のリアルワールドデータを集積しているが、とりわけ健康保険組合(保険者)のデータに強みを持っている。 この保険者のデータの特長は2つある。医療機関や薬局由来のデータは、病気にかかった人のデータで、健康な人のデータが含まれない。だが、保険者のデータは健康な人も含むため、例えば健康な人を含めた100万人のうち何%が発症したかといったデータを取ることができる。こうした広い母集団性が特長の1つ。 2つ目の特長は、保険者データの長期追跡性だ。病院にかかった一定期間のデータだけでなく、健保加入者を長期間追い続けたデータを持っている。さらに、健康診断のデータもあることが、3つ目の特長だ。健診の結果と病気の発症の因果関係がわかる。近年はそれに加え、睡眠や運動のデータも連携させ、因果の輪を広げている。 こうした長期追跡性のある母集団データは、生命保険会社などの予防医療に力を入れている企業にとってニーズがある。 逆に弱点は2つある。1つは健康保険組合のデータは高齢者が少ないこと。もう1つは、症例数としては医療機関のデータには劣るということだ。 ――競合会社や市況をどう見ていますか。同じヘルスビッグデータ事業では、メディカル・データ・ビジョン(3902)があります。
本文:3,834文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
井艸 恵美