ホッカイドウ競馬で渡辺準己厩務員が騎手試験合格、競馬学校など在籍しない「一発試験」で突破
ホッカイドウ競馬に異色のルーキーが誕生する。札幌市出身の渡辺準己(27)が、NAR地方競馬全国協会の令和6年度第2回騎手免許試験に合格した。12月1日付で免許が交付される。 競馬学校など養成機関への在籍経験を持たずに受検する、いわゆる「一発試験」を、厩務員として従事しながらクリアした。合格発表があった20日は、笠松から北海道に戻る馬運車の中で吉報を受けた。「電話が鳴りやまず、SNS等もすごいことになっていて驚きました。ほっとしましたし、よっしゃーという気持ちでした」。 スティックをステッキに持ち替え、信じた道を突っ走る。幼少期にアイスホッケーを始め、北海高、日体大と競技を続けた。卒業後はまったく畑の違う馬の世界に興味を持ち、約8カ月の総合牧場勤務などを経て、10年連続リーディング首位を誇る田中淳厩舎の門をたたいた。そこで1歳下の落合玄太騎手(26)と出会い、活躍を目の当たりにしたのが騎手を志すきっかけになった。「人生を後悔したくないと思いました。担当馬も勝たせてくれてうれしかったが、悔しかった」と火がついた。 厩務員として従事しながら競馬法規など1日約3時間の勉強をこなし、休日はほぼ終日、机に向かった。学生時代から15キロもの減量にも成功。「北海時代のテスト週間を思い出しました。ホッケーで培った体幹の強さは馬乗りにつながっていると思います。ただ、当時はあたり負けしないように体重を増やすのが日課でしたが、今はまったく正反対の食生活です」と苦笑いする。目標は「リーディング1位」と、真っすぐな視線できっぱり。来季の開幕から1着ゴールの量産が見られるかもしれない。【奥村晶治】 ◆渡辺準己(わたなべ・じゅんき) 1997年(平9)11月13日、札幌市生まれ。父昇さんの勧めで3歳からアイスホッケーを始める。北海高ではFWウイングとして活躍し1年時には全国高校8強、2年時にはNHK杯優勝。日体大でも競技を続けた。家族は両親と姉。163キロ、49・5キロ。憧れの騎手はウィリアム・ビュイック。