新型EQE 350 4MATIC SUVはメルセデス・ベンツの近未来SUVであるワケとは?
メルセデス・ベンツのピュアEV(電気自動車)、新型「EQE 350 4MATIC SUV」の魅力とは? 大谷達也がリポートする。 【写真を見る】新型EQE 350 4MATIC SUVの内外装を徹底チェック!!!(19枚)
“S”ではなく“E”に惹かれるワケ
メルセデス・ベンツの最高級電動セダンであるEQSに弟分のEQEがあるように、同社の最高級電動SUVであるEQS SUVに弟分のEQE SUVが誕生した。 モデル名が長いのでちょっとわかりにくいけれど、電気自動車のサブブランドである“EQ”の二文字を取り除けば、最高級モデルが“S”でその弟分が“E”という、メルセデス・ベンツの伝統的なヒエラルキーが明らかになる。 「だとすれば、EQEよりEQSのほうがいいに決まっている」という答えに落ち着きそうだけれど、個人的にはセダンもSUVもEQEのほうが好み。 その理由を、いまから簡単に説明しよう。 これはエンジン車でもEVでも共通だけれど、乗り心地のソフトさでいえば“S”が“E”を上まわる。だからEQS SUVとEQE SUVを比べると、前者のほうが足まわりは柔らかい快適志向で、後者は足回りが引き締まった(軽い)スポーティ志向といえる。 もっとも、これはEQS SUVとの比較論であって、絶対的にはどちらも十分にラグジュアリー傾向だけれど、この微妙な違いが、足まわり周辺からの微振動を引き起こすかどうかの違いとなってあらわれるのだから面白い。それも、サスペンションがソフトなEQS SUVのほうが微振動は強めで、EQE SUVはもっとすっきりとした乗り味なのだから、なおさら興味深い。 足まわり付近で微振動が起きるメカニズムについては、元アストンマーティンで現ジャガー・ランドローバーのマシュー・ベッカーから詳しい解説を聞いたことがある。それによると、サスペンションが固定されている周辺のボディ剛性と、ダンパーを受け止めるトップマウントというゴム部品の剛性のバランスで決まるらしい。 まぁ、難しい話は脇に置いておくとしても、EQS SUVよりちょっとだけ引き締まったEQE SUVの乗り心地は、前述の微振動も少なくて私のお気に入り。ハンドリングにしても、このちょっと引き締まった足まわりがプラスに作用して、大柄なボディがあまり気にならないくらい、思いのままに操縦できる。 そういえば、EQE SUVには後輪がハンドル操作で左右に曲がる4輪操舵システムが標準装備されているのだけれど、その最大切れ角が10度とすさまじく大きい。おかげで最小回転半径は4.8mを達成。これがどのくらいすごいかというと、トヨタ「アクア」(全長は4.05m)のなかでもっとも小まわりが利くBグレードの4.9mを下まわるほどの小ささ。4輪操舵の効果は本当に偉大だ。