「ファンモン再始動」一度は断ったファンキー加藤、心を溶かした社長の一言とは?
● 「何も残せてない」と言うのは ファンの人たちに失礼じゃないか 最終的な結論は、社長と俺でのマンツーマンの会食の場に持ち越された。 めったにないんだけど、数年に1回、社長とサシで飯を食う。ものすごくドキドキするし、できることなら行きたくない(笑)。ほめられるのか怒られるのか、内容は行ってみないとわからないのが、また恐ろしいんだ(笑)。 そのとき、社長に言われたのは「俺個人の思いとしては、もう一度ファンモンを観てみたいけどな」だった。 誰かに必要とされるということと、しかもそれが「3月11日」という日本人にとって決して忘れることのできない日に、一夜限りとはいえ「再結成を望む」という声があることの本当の意味を、もうちょっと考えたほうがいいんじゃないかーーって。 さらに、社長はこんな話もしてくれた。 「加藤は『何も大きなことを成し遂げられてない。まだ爪痕も残せてない』と言うけれど、ファンモンを解散して苦しい時期も乗り越えて、今もたくさんのファンの人がお前の全国ツアーに来てくれる。そういう人たちを目の前にして『何も残せてない』と言うのは、逆に失礼じゃないか?」 うれしかったのは、俺のソロでの活動もちゃんと評価してくれていたことだ。 「お前は頑張ってソロとして踏ん張り続けた。お前がずっと踏ん張ってきてくれたからこそ、ファンモン再結成の話もあるんだぞ」 この言葉が俺には刺さった。自分の中でソロの活動はずっと「足りない」と思っていたんだけど、決してゼロじゃなかった、無ではなかったんだ、と。
● 「あのころの3人」に 少しずつ戻っていった すごくこっちの気持ちに寄り添って、いろいろな話をしてくれた。 俺には加藤俊介にとっての親父と、ファンキー加藤にとっての親父がいる。後者の親父は社長だと思っているし、ファンキー加藤の生みの親だ。やっぱり親父にそう言われたら、こう言うしかない。 「じゃあ、やらせていただきます!」 そこで一気にギアを入れた。社長とそうやってサシで話せたのが本当に大きかった。 そのときは「一夜限り」の復活で、まずはモン吉やケミカル、スタッフも交えて1回話さなきゃダメだと思って、話し合いの場を持った。すっげえピリピリした話し合いを(笑)。 俺とモン吉、事務所のみんなが揃った。「あのときに言えなかったことを1度打ち明けないとモヤモヤする」ということで、俺とモン吉がそれぞれ思っていることを隠さず話した。 ファンモンのときは言えなかったけど、俺はあのときはこう思っていたっていうのをお互いにしっかりとぶつけ合った。そんな過程を経てからリハーサルスタジオに入ることになったんだけど、最初のうちはまだ何かちょっと変な空気感。2人で「あとひとつ」を歌うんだけど、なんかしっくりこなかった。でもその間、ずっとケミカルがフラットな立場で見てくれていた。 少しずつ話していくうちに、時間が経つうちに「あのころの3人」に戻っていけたような感じがした。 すぐには無理だけど、ちょっとずつ時間をかけて。あと、みんなシンプルに歳を取って丸くなった、っていうのもあったかもしれない。