【イベントレポート】「映画 ギヴン 海へ」矢野奨吾は「自分と真冬の人生を重ねた」、内田雄馬は楽曲分析
アニメ映画「ギヴン」2部作の後編「映画 ギヴン 海へ」の初日舞台挨拶が9月20日に東京・新宿バルト9で開催。声のキャストである矢野奨吾、内田雄馬、中澤まさとも、江口拓也、今井文也、坂泰斗、浅沼晋太郎が登壇した。 【画像】「映画 ギヴン 海へ」本予告はこちら キヅナツキのマンガを原作に、ロックバンド・ギヴンのメンバーたちの青春を描くアニメ「ギヴン」。アニメシリーズの完結編となる今作では、ギヴンのメンバーたちが紡ぎ出す結末が映し出される。ギヴンのメンバーである佐藤真冬役で矢野、上ノ山立夏役で内田、中山春樹役で中澤、梶秋彦役で江口が参加。またバンドsyhのメンバーである鹿島柊に今井、八木玄純に坂、そしてプロのヴァイオリニスト・村田雨月に浅沼が声を当てた。 公開初日を迎えたことについて矢野は「原作は10年以上、テレビアニメは5年以上続いています。たくさん愛される作品に携われて本当にうれしく思いますし、自分と真冬の人生がリンクする部分も多く、最後は自身の人生に重ね合わせてお芝居ができたなと思います」 とコメント。内田は「ここまで長く演じてきて、思い出すこともたくさんあって。やっぱりその中でも印象的なのは初めて立夏が真冬と出会ったときのこと。2人とも自分の気持ちをしっかり言葉にできるようになったし、言葉でなくても通じ合えるようになったと感じます」とコメントした。 続いてキャスト陣は春樹、秋彦、雨月に関するトークを展開。中澤が「(明彦と)以前に付き合っていたのが雨月だと聞いたら、春樹もやっぱりびっくりするんだろうな」と話すと、江口も「絶妙なすれ違いがありますしね(笑)」とうなずく。浅沼は「さまざまな恋を経て、雨月も真冬のよき理解者に成長したと言いますか。そんな雨月を演じられて感慨深いです。1つの作品でここまで感情が上下する様子を演じられるのもなかなかないですし、光栄でした」と振り返った。江口も「秋彦はスタートに比べると成長しましたよね。最初はひどい部分も多かったし、天性のヒモ男でしたので。どこか愛おしい存在ですよね」と回想し、中澤は「春樹は、秋彦に対して憧れのような感情があったんです。ただ秋彦自身のしがらみのようなものが見えたときにそれをどうにかしたくて、でも結局うまくいかなくて。そしてそこから新たに学び、ちゃんと理解し合ったことで、秋彦との絆が深まったと思っています。それが春樹の成長でもあるし、人間の生々しい変化や成長をたくさん感じました」と述懐する。 柊と玄純の関係性に触れる場面もあり、坂は「前作『柊mix』では、柊と玄純の関係性における一言一言にとても重みがあったなと思っています」と話す。今井も「この発言がきっかけになるのかなといったシーンも多かったと思いますし、お互いいろいろ相談しながら収録していました」と語った。 真冬のかつての恋人だった由紀が遺し、立夏が完成させた楽曲「海へ」にまつわるトークも。今井は初めて聴いたときは「言葉が出なかった」と言い「知りたかった部分が音楽に見えたと思いますし、歌詞も天才的ですよね。最後のサビ前が特に好きなんです。出会いや別れなどについての表現が素敵だと思いました」と述べる。中澤は「由紀の曲だから『冬のはなし』のフレーズが来るのはわかっていたんですが、それでも泣けました。涙腺が崩壊しました」と口にした。また内田が「真冬と由紀は、名前の響きから冬を連想させると感じて。冬は寒く寂しい気持ちがありつつ、雪が降るとその雪の中で春に芽吹くための種を育ててくれる。それを夏に暖かく照らして、伸ばしていってくれるのが真冬と立夏。やっぱり由紀の気持ちを立夏が立てるのは、とても理にかなっているなと感じました」と論を展開すると、会場からは割れんばかりの拍手が送られた。矢野も「やっぱり由紀も真冬のことが好きなんだなと思いました。由紀が真冬に音楽を遺し、立夏が音楽の中に由紀を見つけ出してくれた。真冬にとって、この2人が本当に大切な存在であると感じました」と考えを述べる。 最後の挨拶では、浅沼が「これまでは真冬が“大丈夫”と歌ってくれていましたが、今回は真冬に対して雨月が“大丈夫”と言っている。大丈夫という言葉は、誰しも言ってあげたいし、言ってほしい言葉だと思うんです。皆様もぜひ本作から受け取ってほしいです」と会場へ語りかける。坂は「玄純が『この曲はこれで完成ってことになるのか』と立夏に問うシーン。あのセリフに、これまた重みを感じることができました。違う観点で何度でもお楽しみください」 、今井は「皆でこだわりを持って作り上げた作品です。歌詞についていろいろな読み解きができるのも魅力の1つだと思いますので、そういった楽しみ方もしてみてください」 とアピールした。 江口は「コロナ禍などいろいろなことがありましたが、今ここへ皆様が足を運んでくださったことに感動を覚えています」「『ギヴン』シリーズを心のどこかに置いて人生を歩んでいただければ」と話し、中澤は「テレビアニメと『映画 ギヴン』を経て、この2部作につなげられて改めてホッとしております。原作、音楽、アニメーションの力が組み合わさって完結までいけたのは本当にファンの皆様のおかげだと思います」と感謝する。 そして内田は「本当に長い間演じることができ、幸せに思いながらここまでやってきました。後悔という感情は誰しもあると思いますが、誰かの温かさによって、それがその人にしかないシワや味になっていく」「そんなふうに思える作品でしたし、真冬と立夏が今後どう生きていくかについても、いろいろイメージを膨らませてみてください」と述懐。矢野は「『海へ』という楽曲に由紀が残り続けるように、『ギヴン』の楽曲の中に真冬たちの存在も残り続けていくと思っています。さらには『ギヴン』という作品に矢野奨吾という役者が残り続ければうれしいですし、この作品が皆様の背中を押してくれたり、記憶の中でずっと生き続けてくれたらこれ以上ない幸せです!」とファンへ思いを伝えた。 監督を橋本能理子が務め、脚本は綾奈ゆにこが手がけた「映画 ギヴン 海へ」は全国公開中。 (c)キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会