『ONE DAY』登場人物たちの“裏切り”と“協力” 蜜谷の真のねらいはまだ明かされず
12月11日に放送された『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)はプレファイナルの第10話。ふたたびミズキ(中川大志)の元へ戻り、20時からはじまるメキシコの犯罪組織との取引に備える誠司(二宮和也)。ディナーのメインディッシュを決め、開店に向けて本腰を入れる時生(大沢たかお)たち葵亭の面々。そして大型音楽番組の放送準備のなかで着々と事件の報道に向けた準備を進める桔梗(中谷美紀)たち。物語は17時50分から始まり、一気に20時06分へと進んでいく。 【写真】優しく微笑む時生(大沢たかお) 誠司とミズキが取引を成功させようと動いている頃、天樹勇太を“勝呂寺誠司”としてアネモネに送り込んだ蜜谷(江口洋介)は、柚杏(中村アン)に命じて警察に残る天樹勇太のデータを消去させる。さらに蜜谷の指示で誠司を逃したカレン(松本若菜)は蜜谷の手のひら返しに遭い、事件の真相を探るべくバスに乗車していた時生のいる葵亭へと向かう。そこで時生が桔梗に伝えた誠司からの伝言を聞いたカレンは、桔梗の元を訪ねることに。すると桔梗は、警察内部にアネモネとつながっている人物がいると告げ、カレンに協力を求めるのだ。 “裏切り”と“協力”。それぞれの登場人物たちの間で二転三転するこの相対するものこそ、このドラマの終盤の大きなキーワードであり、物語を大きく動かす要素といえよう。紫陽(遠藤憲一)から掛かってきた電話で誠司が潜入捜査官であると教えられたミズキは、取引中止を指示する紫陽に逆らい取引の決行を決意する。それでも一度変更した取引場所に向かわずに安斎(米本学仁)と合流。誠司を拘束してまた新たな取引場所へと向かい、ロス・クエルボの幹部たちの目の前で誠司に銃を向ける。 前回のエピソードの終盤で描かれたように、蜜谷が一ノ瀬(遠山俊也)の側について誠司を切り捨てることになれば、誠司は警察からもアネモネからも見放されることになるだろう。それでも蜜谷の真のねらいはまだはっきりとは明かされておらず、カレンを突き放し、柚杏となにかを企んでおり、桔梗からの連絡を無視し続けたものの、誰も現れない取引場所で自分から桔梗に電話をかける。また、蜜谷の忠告を無視してアネモネにガサ入れへ向かった一ノ瀬は、カレンと桔梗の結託によって“アネモネと通じている上層部の人間”の最有力に浮上する。彼らの複雑な思惑が、残り数時間でどのように帰結するのだろうか。 一方で再び我が道をいく状態へと戻った「レストラン編」では、カレンの来店によってディナーの準備が遮断される一連で、山田(今井英二)によって“裏切り”と“協力”の両面がいつも通りのユーモラスなかたちで体現され、ますます他の二編との空気感の違いをあらわしている。そして無事にクリスマスディナーの営業がスタートして続々とお客さんが来店。“愛情のこもったスペシャルメニュー”のメインディッシュが最終話までお預けとなれば、なおさらこのままのテイストでラストへ向かうということだろうか。 できれば梅雨美(桜井ユキ)と天樹勇太の再会や、レストランという空間のシチュエーションを活かして主要な登場人物たちが葵亭に集う大団円にも期待しておきたいところではあるし、音楽番組の最中に中継を強行しようとしたもののスムーズに進まない査子(福本莉子)たちの行く末も気になって仕方がない。いずれにせよ、黒種(大水洋介)のミスで以前(第5話だっただろうか)撮影してもらった映像が放送された真礼(佐藤浩市)には、誰よりも早く“クリスマスの奇跡”が訪れそうな兆しが見え、そこは一安心できそうだ。
久保田和馬