「不適切にもほどがある!」でブレイク・河合優実が熱演 入江悠監督が脚本も手がけた映画「あんのこと」
◆「あんのこと」(入江悠監督、7日公開) 2017年公開の「22年目の告白―私が殺人犯です―」などで知られる入江監督が、20年に掲載された一本の新聞記事に着想を得て、脚本も手がけた人間ドラマ。貧困、DV、薬物、そしてコロナ禍…。多くの社会問題が「この映画は実際にあった事件に基づいている」のメッセージで始まる1時間53分に凝縮されている。 幼い頃から母親の虐待を受け、売春を強要されて育った杏(河合優実)は、覚せい剤を常習する荒れた生活を送っていた。ある日、人情味あふれる型破りの刑事(佐藤二朗)に補導されたことを機に、更生の道を歩んでいくが、それも周囲の環境に阻まれていく―。 TBS系「不適切にもほどがある!」でブレイクした河合が、目つきなど細やかな表情で主人公の心情の変化を熱演。刑事役の佐藤、週刊誌記者役の稲垣吾郎ら、脇役陣も実力派ぞろいで、ドキュメンタリーを見ているような気にもなる。 観賞後はズシンと心に重いものが残る。気軽に見られる作品ではないが、コロナ禍が落ち着きつつある今、上映される意義を確実に感じることができるはずだ。
報知新聞社