洋上風力技能者、年間1000人育成 長崎・伊王島に訓練施設開所 発電設備の建設・保守担う
洋上風力発電設備の建設・保守作業員(技能者)を育成する訓練施設「NOA(エヌオーエー) TRAINING(トレーニング)」の開所式が7日、長崎市伊王島の現地であった。国際認証資格が取得可能な施設としては国内最大規模。年間千人を育成する。 NOAは長崎海洋アカデミーの略語。施設は海洋再生可能エネルギー関連産業の集積を目指すNPO法人、長崎海洋産業クラスター形成推進協議会(坂井俊之理事長)が建設、運営する。日本財団(東京)が5年事業で30億円を助成。千人を育成すれば、洋上風車500基(電力供給約300万世帯分)のメンテナンスを担えるという。 先行して完成した安全訓練棟で来週から開講。2025年度末に技能訓練棟を併設。26年度末には近くの高島沖に洋上タワーを整備し、実海域で船から移乗する「世界初」の訓練も始める。 開所式には鈴木史朗長崎市長や、西海市江島沖で洋上風力発電を目指す合同会社「みらいえのしま」の島田茂東(もとお)社長ら約140人が出席。坂井理事長は「カーボンニュートラルの実現、やりがいのある新たな雇用の場の創出に寄与する」とあいさつした。 日本財団の海野(うんの)光行常務理事が講演し、国内の洋上風力発電人材が「全く足りない」と指摘。「長崎は造船の町なので洋上風力発電事業に入りやすく、既に現場もある。地元漁業者との連携や(海洋研究開発の)実証試験を積み重ねてきたアドバンテージは大きい。人材育成のモデルを全国に発信していける」と期待を寄せた。 所属インストラクターが室内プールに入水し救命いかだに乗り込む「シーサバイバル」や、ロープで6メートル降下する救助訓練のデモンストレーションがあり、出席者が見学した。