巨人・井上温大、凱旋白星 前橋で自己最長8回0封!3勝 前橋商3年の夏、県大会決勝で涙…5年ぶりマウンド「いい思い出に切り替えられた」
巨人は3日、中日13回戦(前橋)に6-1で勝利した。群馬県前橋市出身の井上温大(はると)投手(23)が凱旋登板し、自己最長の8回を投げて5安打無失点。前橋商高3年夏の県大会決勝で敗戦して以来、約5年ぶりのマウンドで躍動し今季3勝目を挙げた。投打がかみ合ったチームは貯金を1とした。 【写真】家族、高校時代の恩師らの前で快投をみせる巨人・井上 念願が叶い、故郷に錦を飾った。前橋市出身の井上が大声援を背に受けて快投を披露。家族や学生時代の恩師、同級生が満員に膨れ上がったスタンドから見守る中、少し照れながらお立ち台で声を弾ませた。 「毎球、温かい声援をいただいて、いい投球をすることができた。お父さん、お母さん、おじいちゃん、勝ったよ~!」 登板前日の2日は同市内の実家に帰り、家族と食卓を囲んだ。しゃぶしゃぶを食べ、母の手料理でパワーを蓄えた。一回2死から連打を浴びて得点圏に走者を背負ったが、切れ味鋭いスライダーで板山を空振り三振。その後は五回2死まで出塁を許さない投球を披露し、プロ入り後最長の8回を無失点で投げ切り、7奪三振で3勝目を挙げた。 苦い記憶を5年越しに塗り替えた。前橋商高3年夏の前橋育英との県大会決勝。小学生の頃からプレーした上毛新聞敷島球場のマウンドに立ったが、八回途中3失点。チームは敗れて甲子園大会出場を逃し「勝ちたかったなと毎年夏に思い出す」と振り返る。 2020年にドラフト4位で入団。左肘の手術を受けた21年オフに育成契約となり、22年7月に支配下選手に復帰した。懸命なリハビリを乗り越えての故郷での一勝に「ずっと投げたいと思っていた。拍手をもらって、疲れを感じないくらい期待に応えようという気持ちが強くなった。今回でいい思い出に切り替えられた」と胸を張った。 巨人が前橋で試合を行ったのは21年以来3年ぶり。勝利したのは18年以来6年ぶりだ。阿部監督は「どこに行っても地元だと思って投げてもらいたい」と冗談を交えつつ、「素晴らしい投球だった」と称賛。今季途中からローテーションに定着しつつある左腕が、凱旋勝利を自信にさらなる飛躍を遂げる。(原田優介)