アメリカのミレニアル世代の22%が「友達がいない」と答えたという「衝撃的な事実」
Microsoftをはじめとするクライアントを持つ行動科学者ジョン・レヴィ『影響力の科学 ビジネスで成功し人生を豊かにする最上のスキル』はチャルディーニ『影響力の武器』にタイトルは似ているが、中身はまったく違う。 【写真】メンタルの強い人が、なぜか絶対にやらない「意外なこと」があった! これは「人々が心の内から積極的に参加したいと思うコミュニティはどうしたら作れるのか?」について書かれた本だ。
結局孤独を選んでしまう
医療サービスを提供する企業シグナが実施した調査によると、アメリカ人ですら半数近くがときどき孤独を感じ(46%)、いつも取り残されている(47%)と感じているという。また別の調査によるとアメリカのミレニアル世代の22%が「友達がいない」と答えている。 1980年代半ばから2000年代半ばまでの20年間で平均的なアメリカ人は親しい友人が2.94人から2.08人に減った。私たちは孤独を感じ、つながりを求めている。 ビジネスにおいても社会生活においてもコミュニティを作る重要性が説かれ、良いコミュニティに入ることで得られる利点が大きいことが語られる。 だが信頼できる相手を見つける労力が大きすぎるがゆえに、大抵の人はひとりで居続けることを選ぶか、あるいは既に気心の知れた人たちとの付き合いのみを継続する。 だからコミュニティづくり・コミュニティ選びは難しい。
他者からの信頼を生み出す「まっとうさ」と「弱さ」
そもそも人は、どんな条件が揃えば他者を信頼するのか。グレイソンらは信頼は3つの基本的な柱で構成されていると示した。 1.何かを成功させる能力:神経外科医が5歳児だとしたらその腕を信頼する人はいない 2.正直さ・誠実さ:正直ならば話す通りなのだろうし、騙すことはないと信じられる 3.徳:こちらの最善の利益を考えて行動してくれる相手を私たちは信じる。 一方で、これとは異なる信頼醸成のメカニズムをポルツァーらは理論化している。 ・人物1が脆弱性を示す(他者からのサポートの必要性を示す言動をする) ・人物2が助けを求めるシグナルを確認し、シグナルを返す ・人物1が人物2のシグナルを確認する このプロセスによって2人の間に信頼関係が生まれる――つまり誰かが「こんなプロジェクトは初めてで、すっかり参っています。困りました」と弱さを見せたことに対して「大丈夫ですか? 何かお手伝いしましょうか?」と返すと、そこに信頼関係が生まれる、という。 グレイソンらは「まっとう」であることで信頼が生まれると言い、ポルツァーらは「弱みを見せる」ことで信頼が生まれると言う。普通に考えると、このふたつは矛盾している。 しかしたとえばビジネス書でこのふたつの組み合わせはよく使われている。 何かの分野で成功した人が本のまえがきで「私も昔は失敗だらけで、全然才能なんてなかったんです。そこから少しずつノウハウを積み上げていって今の自分があります。だからこのやり方は誰にでもマネできるはずです」などと語るのを読んだことがないだろうか? これが「まっとうさ」(成功させる能力の顕示)と「弱さ」(過去の失敗、挫折)を組み合わせて読者からの信頼を獲得する手法だ。個人として他者から信頼を獲得し、関係を築くならこうしたプロセスが使えるだろう。