デプスルアーが不滅な理由は…「社長が使いたいから」超ロングセラーの秘密が明らかに。
「あのルアーは今?」という特集の初っ端からいきなり逆説的なアプローチ。どうしてデプスのルアーには定番品が多く、一時の流行りで終わることが少ないのか。ルアーに普遍性を持たせるマジックとは? 奥村和正さんにそのタネや仕掛けを聞いてみた。 【画像】デプスルアーが不滅な理由《超ロングセラーの秘密》写真ギャラリー
「売れているルアーを追いかけてもしゃあない。ただ間違いのないものをちゃんと作ってきた」
9月某日、当初はインタビュー取材のみの予定だったが、せっかくなので往年のデプスルアーを使って半日釣りをしてみませんか? …というライターの提案を快諾してくれた奥村さん。厳しいとされる秋の琵琶湖にて、釣りをしてもらいながらお話を伺っていこう。ちなみに、この日は季節外れの暑さで、予想最高気温は32℃だ。 奥村「でもなんか秋って感じやな」 そう言いつつ、スキーターを北へと走らせた。最初のポイントは北湖東岸のマリオット前。野洲川の河口から続くシャローフラットで、やや濁り、フサモがパッチ状に点在している。 さて、最初に投げるルアーは…マッドウェーバーだ。デプスの記念すべき最初のバズベイトだが、現在は廃番になっている。その理由は? 奥村「これは大人の事情というか、バズペラを作ってくれてた業者さんが辞めてしまった。それでペラが作れなくなって… じゃあ、別のところで作ったらええやん、ってことなんだけど、そのタイミングでちょうどマツバズが出た。マツバズはマッドウェーバーみたいなちょっと変わったバズベイトじゃなく、基本性能をちゃんと押さえて、かつ、釣れる。マツバズがあるしな… っていうのもあってね」 と、いきなり廃番ルアーの話題になってしまったが、本来の趣旨はタイトル通りデプスルアーが忘れられた「あのルアー」にならない理由を探ること。Bカスタム、デスアダー、フラットバックジグ、サイレントキラーなど… 超がつくロングセラーで、今も第一線で活躍するルアーがデプスには多いのだ。その理由を当のビルダー氏に問うてみた。 奥村「それは単にウチが廃番にしていないだけ。頑張って作ったので廃番にしたくない… っていうのと、俺が使うから。あと、製品化するまでの道のりでいろんな見極めをして、ちゃんと作っているつもりやから。ノリとか流行とかに便乗するような作り方はあまりしてないからね」 奥村さんがウィードパッチへBカスタムを投げる傍らでそんなお話を聞いていたその時…。 奥村「あー、食った! 食ったのに、今! Mのせいやな」 ライターが真隣にいたのでアワせづらかったのか…惜しくもフッキングならず。…では、インタビューを続行しよう。 廃番にならないということは今も釣れ続けていることだと思うのですが、奥村さんはその理由はどう考えますか? 奥村「ワームの場合、新しい使い方が出てきて再燃することがあるね。例えば、サカマタシャッドがノーシンカージャークのみのワームだったとしたらそんなに息が長くなかったと思う。ジグヘッドのミドストで再燃したり、そういうのを繰り返してる。デスアダーも最初はノーシンカー一択だったけど、ミドストの具になったり、チャターのトレーラーになったり、そんな感じで『最近また売れてきたね』を繰り返している」 実釣の方は、マッドウェーバー、Bカスタム、プロップジグなど往年のワイヤーベイトを中心にシャローからミドルレンジを釣っていくも… 残念ながら、その後はノーバイト。「ナゼ、デプスのルアーはいつまでも消えないのか?2」では、釣りをしながら伺った往年のデプスルアーの現在をお伝えしよう。 【画像】奥村さんのソリッドな朝食風景。ゆで卵にマヨネーズをつけて頬張る。 【画像】デッキで出番を待つ(ほぼ)往年のルアーたち。左からBカスタムチャター+デスアダー、Bカスタム、マッドウェーバー、ギラギラコウゲキ、newハイサイダー172。 【画像】3年前の10月取材にて。浜大津港付近のエビモパッチ、その間を通すようにBカスタムを表層引きすると… 激しく水面が割れ、現れた54cm。今回の取材もまさに同じような使い方だったが… 短い実釣時間ながらバイトを得ることはできた。