日本より進んでいる?フィリピンの行政システムとIT化
ドゥテルテ前大統領時代に法制化され現マルコス政権下で実施された海外労働者関連の省庁再編もその一つである。従来の縦割り行政を改めDepartment of Migration Workers(海外労働省)の下に一本化した。それゆえワン・ストップ窓口が可能となったのだ。これもドゥテルテ前大統領の剛腕政治の成果の一つであろう。
海外労働者福祉庁事務所では奨学金まで支援
パラワン島のプエルト・プリンセサ市の海外労働福祉庁事務所。所長によると海外労働者と留守家族の支援業務の窓口であり、海外での契約上のトラブル・送金手続き・法律問題の支援、災害・事故での緊急医療支援、保険金給付、帰国サポート、さらには帰国後の就職・起業の支援など多岐にわたるようだ。現地との連絡が取れなくなった留守家族が安否確認のために事務所に駆け込むことも多々あるという。 トラブルで多いのは給与不払い、ハラスメント、虐待。現地大使館・領事館の海外労働事務所が現地側で雇い主と交渉するが、そもそも中東諸国では労働者保護法制が未整備で相手国政府も無関心なので難航するようだ。 トラブル・病気・怪我などで帰国した生活苦の人々への一時金支給、スモールビジネス起業の資金貸与、本人や子女の大学進学奨学金支給など幅広い支援だ。ちなみに当該オフィスでは50人ほどに奨学金を支給していた。
救急車で病院に運ばれた患者の費用負担はゼロ
3月20日。セブ島西岸のダイビング・スポットであるモアルボアルのホステルで散歩から戻り食堂の椅子から立とうとしたら軽いめまいがして座り込んでしまった。長逗留している欧米人のドクターが脈をとり額に手を当てて気分はどうかと尋ねてくれた。「炎天下無理して散歩したので軽い貧血を起こしたようだ。少し横になっていれば回復する」とドクターに説明した。ドクターと宿のお兄さんが肩を貸してくれて部屋に戻りベッドに横になった。 ところが宿の主人が気を利かせて救急車を呼んだらしい。救急隊員が部屋に入って来て有無を言わさずいきなり血圧、脈拍、血中酸素濃度を測定。いずれも正常値に近く救急隊員もドクターの説明に納得した様子であった。 それでも救急隊員は念のため病院で診察を受けたらどうかと盛んに勧めた。再三強調したのが「フィリピンでは救急者で運ばれた患者は無償で緊急対応する制度なのでお金は心配するな」という文言であった。結局ドクターの口添えもありホステルで様子見することとなり救急隊員は引き揚げた。 ちなみに医療サービスが無償というのは筆者が知る限り世界中でイランだけだ。25年ほど前、イランの地方都市で商談途中に突然尿管結石の発作が起こり我慢できずタクシーで最寄りの病院に飛び込んだ。真面目そうな若手医師に「キドニーストーンの発作だ」と伝え鎮静剤を注射してもらった。30分ほどで痛みが収まったので医師に礼を述べて支払い窓口を聞いたら「公立病院なのでお金は不要。アラーは偉大なり。神のご加護を」と言って他の患者の診療に向かった。