横浜FC、攻撃深化への課題とは…伊藤翔「守から攻への切り替え」や対角シャドーを使う大切さ説く
J2横浜FCは14日に藤枝とホーム・ニッパツ三ツ沢球技場で対戦する。チーム最多の4得点をマークしているベテランFW伊藤翔は、勝ち点3を積み重ねるために、守から攻に移る切り替えの早さと逆シャドーを見る重要さを説いた。 * * * 通算7失点は仙台の6失点に続く少なさ。守備陣は昨季、J1で作り上げたベースがある。J1とJ2では攻撃力も違うので「大崩れはしない。切り替えのタイミングで、攻から守はみんなが頑張っている」と自信を示す。 課題は攻撃だ。J2で4位の14得点を挙げているが「守から攻がまだ遅いかな。ボールを奪った時に出すところがないとか、せっかく繋がったのにその次がついてきてないことが、まだまだある」と言う。 そして「プレッシングが来るチームも多いから、長いボールを蹴ってしまう。そこでつなげれば全然違うんだけど…」と言った後に続けたのは、ホーム三ツ沢独特の問題だ。芝生の見た目の綺麗さでは分からない、凸凹したピッチ状態の難しさがあるという。パスの強さの「さじ加減がめちゃくちゃ難しい」そうで「1本のパスでもめっちゃくちゃ気を遣う」ほどだ。 日曜に対戦する藤枝は、前からのプレッシャーが予想される。伊藤は引き分けた前節のいわき戦と「ある程度似たような展開になる」と見ており「つなぎたいけど、やっぱりつなぎにくいから、蹴って運ゲー(=運任せ)みたいな感じになってしまうのは避けたい」と考えている。 攻撃では、あうんの呼吸での連動性や“鉄板パターン”がなく手探りの段階。そこでベテランが注目するのは、逆サイドのシャドーの使い方だ。「前から来る相手は(ボールと)反対のシャドーがめっちゃ空いている」と指摘する。 ボールがあるサイドに相手が食いついてくる点をうまく突き「(左右CBは)逆サイドに蹴ってくれてくれれば。こっちはだいたい2対1になる。そうやってボールを運んで展開していけば、攻めもスムーズになってチャンスや得点数も増えているはず」と力説。圧力を受けて苦し紛れで蹴るのではなく、意図を持って逆サイドの前に出す。そうすることで、攻撃に緩急のアクセントをつける効果も狙えそうだ。 11日に行われた紅白戦では、右CBのガブリエウが逆サイドの中野嘉大へ出したパスがつながるシーンがあった。伊藤は「それで全部はがれる」と強調する。「だから横のCBが、配球的には超大事。そこで(相手に)はめられるかはめられないかが決まる」と説明し「そこが生命線くらいの気持ちでやらないとだめかな」と説いた。 * * * J2はシーズンの約4分の1を終えて、横浜FCは4勝3分け2敗の勝ち点15で4位。首位の清水は同19、自動昇格圏内の2位・長崎は同18。首位と4差と団子状態だが、サポーター心理としてはどうしても順位が気になるところ。 だが伊藤は「残り10試合くらいになればポイントも考えなきゃいけないけど。そこまではひたすら勝ち点差を積み上げることだけ。そこ(昇格争い)に到達するために、今はとにかく頑張る」と目の前の一戦に集中している。 昇格争いを勝ち抜く上では「(20節以降の)2周目の集中さ加減はめちゃくちゃ大事」とこれまでの経験で実感している。「だから、そこまでにある程度勝点は積んでおきたい。そこで苦境に立たされても『前半戦の貯金が生きたね』となるような展開にはしたい」と誓っていた。(田中孝憲)
報知新聞社