9年落ちのメルセデス・ベンツGクラスが、意外なほど快適だったワケとは?(連載:34歳、ゲレンデを買う)
29歳で人生初のフェラーリを購入した『GQ JAPAN』の編集部員のイナガキが、ひょんなことからメルセデスの“ゲレンデ(Gクラス)”を購入することに。はたして、“跳ね馬”の次はいかに? 【写真を見る】これが9年落ちゲレンデの快適ポイントだ!(11枚)
所有したからこそわかる使い勝手
わがG350ブルーテックは2015年式だから、10年近い前のクルマだ。納車直後に調整して、不満をほぼつぶした。10年選手とは思えないほどの快適さについて記す。 快適装備が充実しているのは嬉しい。シートやステアリングは電動調整式で、細かく設定可能だ。フロントにはメモリー機能が備わるし、ヒーター機能は前後席に備わる。しかも、どのシートも座り心地が良く、ロングドライブでも疲れ知らず。古くからメルセデス・ベンツのシートは定評があるように、実際、所有するとその良さが実感できた。 インフォテインメント機能はまずまず。搭載するCOMANDシステムは、タッチパネルではないため、センターコンソールのコントローラーや音声で操作しなくてはならない。面倒だが、ナビゲーション機能をほとんど使わないためさほど困らない。また、スマートフォン連携機能は非搭載。2017年式から、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応した。 もっともBluetooth接続機能は搭載するので、ハンズフリー通話やスマートフォン内蔵の音楽は聴けるので十分。とくに音楽は、12スピーカーで構成されるharman/kardonのロジック7サラウンドサウンドシステムが、思いのほかよかった。当時のカタログが謳う通り、最新のGクラスが装備するBurmesterのサラウンドサウンドシステムにも負けていない。聴いた瞬間、豊かな音色にビックリした。 標準のリアビューカメラは、ただ後方を映すのみでガイドラインはない(2017年式以降は装備)。「パークトロニック」と呼ぶ、前後の障害物を検知して、インジケーターやアラーム音で接近状況を伝える運転支援装備を組み合わすので、不満はあまりない。 今の時期、スライディングルーフは気持ちが良い。ガラス製ではないため空を見上げるには、ルーフを開けるかしかないものの、別に困らない。 前回、カップホルダー不足について記したが、小物入れは十分ある。助手席のグローブボックス、センターコンソールにくわえフロントシート下部にリッド付きの小物入れも用意。トランスミッション前にある小さなスペースは、自宅駐車場用のリモコンキーを置くのにピッタリだ。 運転時に便利なのは、ブレーキのホールド機能だ。赤信号停車時など、ブレーキペダルを深く踏み込むと作動。メーターパネルに「HOLD」と表示されれば、ペダルから足を離しても停止状態を保持する。 ストップ・アンド・ゴーの多い都心部では、事故を防ぐべく、ホールド機能を多用するが、おかげで疲労が軽減されているように思う。ちなみにG350ブルーテックは、衝突被害軽減ブレーキは搭載していない。 もうひとつは、「ディストロニック・プラス」。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)のことだ。レーダーセンサーが先行車を認識、車速を自動で調整し車間距離を適切にキープ。先行車が停止した場合、自車が停止するまで減速する。再発進はクルーズコントロールレバーの操作か、アクセルを軽く踏めば良い。完全停止→ブレーキ保持→再発進に対応するあたりは、最新のACCと遜色ない。 クルーズコントロールレバーの操作性がイマイチなのを除けば、精度はまぁまぁ。10年近く前のシステムだが、今でも問題なく作動する。ちなみに、レーンキープアシストは備わらない。 ここ最近乗ってきた2台のフェラーリ(「360モデナ」「カリフォルニア」や、1987年式のシボレー「コルベット」(C4)と比べれば、快適性は格段に増した。これら3台のスポーツカーと比較するのはナンセンスかもしれないが、日々の足として考えるとG350ブルーテックが一番。 今回は長い付き合いとなりそうだ。
写真・安井宏充(Weekend.) 文と編集・稲垣邦康(GQ)