私は夫に先立たれており、子どももいません。私が亡くなった後の手続きは親戚に頼むのですが、その際にかかる経費はどのくらいですか?
埋葬(お墓)にかかる経費
次に問題となるのは、お墓に関する経費です。先祖から代々続く墓石のある一般墓に埋葬してもらう場合は、納骨費用と戒名代だけで済むかもしれません。 ただここで問題となるのは、ご本人が亡くなった後、お墓を管理する方がいなくなり、無縁墓になってしまう可能性があることです。先祖代々の墓がある場合は、「墓じまい」という面倒な作業が必要になるかもしれません。当然、経費もかかります。 一般墓以外の墓の種類としては、(1)樹木葬、(2)納骨堂、(3)永代供養墓、(4)散骨、が考えられます。いずれもお墓を継承する必要のない埋葬方式のため、子どもがいなくても問題はなく、亡くなった配偶者の埋葬形態に準ずる方式が最善です。 樹木葬などは後に埋葬することを契約しておけば、かなり費用は安くなるかもしれません。親戚の方に意思表示をしておきましょう(下記金額はあくまで目安です)。 (1) 樹木葬は、寺院や霊園の管理する場所に墓石の代わりとして、樹木・草花を植えその下に埋葬する形式です。費用は、20~80万円ほどです。 (2) 納骨堂は、専門の建物の中にあるロッカー方式で納骨され、対面できる形態となっており、多くは都会の好立地な場所にあります。立地や設備内容によって、費用にかなり差があり、30~120万円ほどです。 (3) 永代供養墓は、寺院や霊園が供養し、個別埋葬期間(一般的には33回忌)が過ぎると親族以外の方の遺骨と合葬される方式のため、安価な埋葬方式といえます。費用としては、8~25万円で済みます。 (4) 散骨は、遺骨を粉砕して海洋や森林に散布する方法で、散布地域での条件確認と散布のための船のチャーター料などがかかります。費用としては、20~60万円はかかります。
それ以外にかかる経費
葬儀とお墓以外に、どんな経費が必要でしょうか。考えられる経費としては、生活用品の整理、デジタル遺品の整理、持ち家ならばその解体費用、といったことが考えられます。 生活用品の整理は、業者に依頼します。生前整理を進めておけば、経費を少なくできます。目安として20~30万円程度です。パソコンやスマホなど、デジタルデータの処理も結構大変です。 写真や金融情報を可能なかぎり消去することを行い、そのうえで残ったデータ処理に関しては、20万円程度の金額で業者に依頼するのが賢明です。最近では、終活ビジネスを展開する業者も増えていますが、亡くなった後の要望まで希望どおりに進めてもらえるか、業者の信頼度を消費者センターなどに確認することも大切です。 もし介護施設への入居を検討されている場合は、自宅の売却を同時に行ってもよいでしょう。マンションであれ一戸建てであれ、処分し現金化すれば、介護施設での経済的不安を解消できます。 自宅に最後まで住み続けた場合は、マンションであれば、遺品整理が済めば売却が可能になります。一戸建て住宅の場合は、築年数にもよりますが、解体・さら地化して売却することも多いため、多少手間がかかりそうです。解体費用としては、200万円前後になるでしょう。 想定される死後の経費を計算し、手続きなどを世話になる方ときちんと話をして、必要な資金を準備しておきましょう。 執筆者:黒木達也 経済ジャーナリスト 監修:中嶋正廣 行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。
ファイナンシャルフィールド編集部