【速報】医師の男に懲役18年の判決 難病ALSの患者からの依頼を受けた「嘱託殺人」 「利益を求めた犯行であったと言わざるを得ない」と裁判長
■発端はSNSへの投稿
この事件は、ALSを患っていた林さんが、SNSに安楽死を望む文面を投稿し、大久保被告がこれに応じたところから始まりました。 裁判で大久保被告は、犯行の動機について「苦しみから解放されたいと願うなら、かなえてあげられたら本人のためだと思います」などと説明。 また、殺害当時の状況については、「(林さんが)文字盤を使って『死なせて』と」「目に涙を浮かべて嬉しそうに」「自分がやるべきことはやったのかなと思いました」などと話しました。
■大久保被告の「過激な思想」共犯の山本被告が証言
大久保被告が時折、涙を浮かべながら林さんへの思いを語る一方で、証人として出廷した共犯の山本直樹被告は、大久保被告の“過激な思想”について次のように述べました。 【山本被告】「「高齢者が早く死ねばいいと、しばしば口にしていました。殺人のノウハウを蓄積し、そのノウハウを金にして自分の理想とする世の中が実現すればいいと考えていた人です」 山本被告は、大久保被告が“殺人マニュアル”を作成していたとも証言していました。 検察側は「真摯な安楽死を実践するものとは程遠い詭弁」として懲役23年を求刑していました。
■「なぜ思いとどまるよう説得してくれなかったのか」と父親
また、裁判では、検察官が代読する形で、林さんの父親の意見陳述が行われました。 【父親の意見陳述】 「私の長女・優里はこれから人生目標が見え始めた時に不治のALSにかかりました。闘病中と一生懸命頑張っていました。その時にネット上で知り合った医師の口車に乗せられて金銭まで要求され、あの世へと旅立ってしまいました」 「優里は体が不自由でも生きていました。大久保と山本が部屋に入った時は生きていたのです。大久保が薬を注入する時どんな気持ちだったのか。普通の人間にできることではない。なぜ思いとどまるよう説得してくれなかったのか。優里は亡くなったのではなく、亡くならされてしまいました」
5日の判決で川上裁判長は「被害者のためを思って犯行に及んだものとは考え難く、利益を求めた犯行であった」と大久保被告の主張を認めない判断を示しました。結論は懲役18年。「被告人の生命軽視の姿勢は顕著」と厳しく指摘する判決となりました。