障害者用救命カードなど提案 三重県内の消防職員が意見発表会
グリーンプラザおおだいで開催 最優秀賞に丸山さん(志摩)ら
三重県内の消防本部の職員が、日々の業務や現場の経験を元に、消防防災の諸問題の提言の意見発表を行う「第47回県消防職員意見発表会」(県消防長会主催)が12日午後1時から、多気郡大台町栃原のグリーンプラザおおだいで開かれ、消防士7人が、防災についてさまざまなアイデアを発表した。 同会は消防職員の資質向上を目的に毎年開催しており、県内15消防本部をAブロック(松阪地区広域、紀勢地区広域など8消防本部)とBブロック(桑名市、菰野町、鈴鹿市、津市、志摩市、熊野市、名張市の7消防本部)に分けて隔年で実施。今年はBブロックの発表が行われた。 この日、会場には職員ら約70人が出席。各消防本部から選抜された消防士7人は、1人当たり5分間の持ち時間で発表し、審査長の福岡佳久・大台町教育長や、審査員の川邉正樹・県防災対策部副部長など5人が発表内容や発表力を元に審査して、最優秀賞を選出した。 最優秀賞に選ばれたのは、志摩市消防本部の丸山莉奈さん(31)と津市消防本部の吉川千穂さん(21)。 丸山さんは2015(平成27)年に志摩市同本部初の女性消防士となった。聴覚に障害がある人との交流体験を通して、耳が聞こえない人も安心して使える、「お薬手帳サイズ」の二次元コード付きの救命メソッドカードを提案した。 丸山さんは学んだ手話を織り交ぜながら発表し、「カードには『救急車を呼んで下さい』などのイラストコメントを付け、二次元コードは心肺蘇生の方法などを字幕付きの動画で見られるようにして、いつもお守り代わりに持てるようにしたい。アプリケーションも活用していき、誰もが助ける・助けられる存在になるようにしていきたい」と堂々と語った。 消防士3年目の吉川さんは、現在、119番通報の指令員として勤務。電話越しでの判断が非常に難しいことから、ビデオ通話での119番通報を提案した。吉川さんは「同じ事案は二つとしてなく最初は緊張感と怖さがあった。通報者自身が住所が言えず、周囲に目標物がない場合の場所の確定の難しさ。何度も聞き返してしまい、怒らせてしまったこともあった」と振り返った。熱中症の疑いで119番した通報者が実は脳疾患の症状だったこともあったという。「ビデオ通話は応急措置などにも活用でき、火災現場だと炎の高さや煙も確認することができる。安心のバトンをつなげて、心細い時間に寄り添っていきたい」と大きな声で話した。 審査長を務めた福岡教育長は「何が重要なのか、普段の仕事の中で考えてもらっていることに感銘を受けた。皆さんの熱意を力強く感じました」と総括した。 丸山さんと吉川さんは、25日に岐阜県で行われる全国消防長会東海支部意見発表会へ、県代表として出場する。